タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

司法試験への「抜け道」人気 大学院制度揺らぐ可能性も2012/11/9朝日新聞

朝日新聞(デジタル)の記事です。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201211080869.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201211080869

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ここの図はいいですね。

新しい情報はありませんが,問題の構造を,記憶に置いたまま考えず,書き出すことでワーキングメモリーが開放されるのでしょうか,問題点が分かりやすくなります。

法曹育成は,そのスタート時にロースクール経由が想定されていただけであって,予備試験が「本流」でない,とは厳密には言えないと思います。

人間が作った制度であり,数学や自然科学ではないので,どちらが絶対に正しいということはありません。

ガリレオだって,地動説を唱え始めたときは,「本流でない」どころか「異端者」と言われました。

その当時の人間の多くが「天動説」を支持していたから,小数派であるガリレオが,数の論理によってひどい言われ方をしただけであって,多数派が真に正しいとは限りません。

現在の制度下では,予備試験が「本流でない」「例外」と言われてしまうのは,仕方ないでしょう。
だからといって,ロースクールが真に正しいとは,まったく証明されていないと思います。

逆に,予備試験が最初にあって,後からロースクールができたら,どんな記事になるでしょうか。

(この記載はウソ記事です)

「抜け道」としての法科大学院ルート不人気 予備試験ルートは盤石

法務省はX日、予備試験に合格しなくても司法試験の受験資格が得られるロースクールの入学試験の合格者数を発表した。

538人が受験し、322人が合格,194人が入学した。

現在の法曹養成制度は,予備試験の合格者が司法試験に合格して法律家になるのが原則。
法科大学院は、予備試験に合格するのが難しいが,多額の学費を支払ってでも理念を学び,受験資格を得たい人向けの例外と想定されている。

しかし,学費や時間の負担が大きく,これが法科大学院の不人気の理由と思われる。
このままであれば,予備試験ルートを原則とする現行の制度に影響は少ないだろう。

■「お金も時間もかかりすぎる」

法科大学院を受けようとは思わない。多額の学費に見合うリターンがあるとは思えない。予備試験に受からなければ法曹をあきらめればいいだけだが,法科大学院を卒業して司法試験に合格しなければ人生が狂ってしまう。リスクが高すぎる。」
バカダ大学の男子学生(20)はそう語る。

昨年の予備試験を突破した男性は,
法科大学院はお金も時間がかかりすぎるのがデメリット。実務に出るのも遅れる。払った学費と時間を考えると,相当良質のサービスを提供されなければ,行く人はいないのではないか。」と語った。

大学院側は反省の弁を述べる。法科大学院協会事務局長は「予備試験ルートが本流であり続けるのは必然だ。法科大学院は,所詮は経済観念のない学者が作った箱ものだった。これだけ早期に破綻する制度もあまりないだろう。」とため息をついた。

要するに言いたかったのは,現行制度が「金と時間」がかかることを前提としているので,これを回避することが「節約」「抜け道」と見えてしまいます。
しかしこれは,単なる比較の問題,印象論であり,本質の議論ではありません。

そもそも,なぜそんなに「金と時間」がかかるのか,それに見合った成果があるのか,その成果は,独学で身に付けられる程度のものではないのか,これらを検討するべきでしょう。

法科大学院側が反論するとすれば,「ロースクールにはこのような大きな成果があります。学費や時間に見合います。予備試験と併存しても勝ち残れます。」とアピールしていくのが本筋だと思います。

なぜ,そう言わずに,予備試験に対して「条件」だ「制限」だと,ネガティブな攻撃を仕掛けようとするのでしょうか。
法科大学院協会の事務局長ともあろう人が,「有効な反論が考えられない」と自白したに等しいと思います。