この国の司法にそんな由々しき問題が。
定員割れの原因
法科大学院における定員割れ・志願者数減少の原因については、法科大学院制度自体は是とする論者と、法科大学院制度自体に批判的な論者との間で大きく見解を異にする傾向がある。前者の立場に立つ論者は、新司法試験の合格率低迷と予備試験制度が定員割れの原因であり、予備試験の受験資格を制限すれば問題は解決に向かうなどと主張する一方、それ以外の原因は無視する傾向にあるのに対し、後者の立場に立つ論者は、司法試験合格者数の過剰による弁護士業界の深刻な就職難、法科大学院経由では法曹となるまでの時間的・経済的負担が大きすぎること、法科大学院の教育内容が司法試験にも実務にも直結していないことなどが定員割れの問題であり、法曹志望者を回復させるにはもはや法科大学院制度を廃止する(法科大学院修了を司法試験の受験資格から外す)しかないなどと主張する傾向がある。
法科大学院制度自体は是とする論者は,新司法試験の合格率低迷と予備試験制度,それ以外の原因は無視する傾向にある(!)
そ ん な ひ ど い ひ と た ち が い る の で す ね
新司法試験の合格率
法科大学院を修了すると「法務博士(専門職)」という学位が授与され、5年間に3回まで(平成27年以降は5回まで)新司法試験を受験することができるが、その期間内に合格できなければ受験資格を失ってしまう。司法試験の受験資格を喪失した法科大学院生は、俗に「三振博士」「三振法務博士」などと呼ばれ、予備試験に合格するか法科大学院に再入学しなければ再度司法試験を受験することはできない上に、年齢等の問題から一般企業等に就職するのも難しく、いわゆるワーキングプアやニート、引きこもりといった状態になってしまう者も少なくないと言われている
そんな深刻な問題が。
司法試験予備試験制度の導入
法曹を目指す学生の間では、「予備試験で受からなかった人が行くのがロースクール」という印象が定着し、法曹を目指す優秀な法学部生は予備試験合格を目指して法科大学院に進学しない傾向にある、法科大学院に進学した者も予備試験の受験を続け、法科大学院の授業よりも予備試験の受験勉強を優先する傾向にあるほか、予備試験合格により法科大学院を早期に退学することを目指している学生もいる、との指摘もある。
そんな学生が。
弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少
法科大学院制度の導入に伴い司法試験の合格者数は従来より大幅に増員されたものの、当該増員を必要とするだけの法曹需要はそもそも存在しなかったことになる。このように具体的必要性を欠く法曹人口拡大政策により、弁護士の求人市場は大幅な供給過剰となり、特に若手弁護士の多くは深刻な就職難、経済難に喘いでいる旨が繰り返し指摘され、多額の学費を支払って法科大学院に入学し苦労して弁護士資格を取得しても経済的には割に合わないことが社会にも広く周知された結果、法科大学院の大幅な入学者数減少、定員割れを招いた可能性は否定できない。
そんな割に合わない職業は,人気が落ちて当然ですね。
法曹志望者の大幅な減少、法曹の質の低下の懸念
椎名毅委員(みんなの党)が、司法改革以前と比較して司法試験の合格者数が倍増しているにもかかわらず、判事補への採用人数が年間100人前後で推移している点について、「司法制度改革を行って、新司法試験に受かった人たちの成績が余り期待できていないという意味なんでしょうか」と質問したところ、安浪亮介最高裁判所事務総局人事局長は「私どもとしては裁判官になってほしいと思う者であっても、弁護士事務所の方に行くという者もおりますし、その一方で、やはり裁判官として仕事をしていく上では、裁判官にふさわしい資質能力を備えた者でなければならないということもありますもので、修習生の数がふえたからといって、直ちに判事補として採用する者が増加するという関係にはないというふうに見ております」と答弁している。
「弁護士事務所の方に行くという者」は,司法制度改革前から一定の割合でいたでしょう。
つまり,司法制度改革が始まってから,「弁護士事務所の方に行くという者」が特別に増えたという事情がなければ,合格者が激増すれば,裁判官を希望する者も比例して増えるはずです。
それにもかかわらず判事補の採用人数が増えないのは,もう1つの理由,すなわちロースクール制度になって「裁判官にふさわしい資質能力を備えた者」が少なくなったことが原因と考えられます。