タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

法科大学院の経営は成り立っているのか

ヤフー知恵袋ですので、正確性にはやや疑問もありますが、近年、各ロースクールが学費免除を乱発しているのは事実ですので、これに近い状況にあるロースクールがあるのは確かでしょう。

同志社法科大学院。 入学数が約40人。

同志社法科大学院

入学数が約40人。
授業料

二年間全額免除27人

一年全額免除が12人

一年間半額免除が8人

40人入っておおよそ、学年あたりまともに取れる学費が4人分。

入学金約30万×40人1200万

授業料110万×4で440万

よって、

一年間の学生からとれる分が、1700万弱。

事務方の人件費三・四分程度しかないですが、経営上これに、国からの援助があるので、法科大学院運営には問題ないのでしょうか?

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14139945054

魚拓
http://megalodon.jp/2014-1231-1843-04/detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14139945054

このような状況では、もはや経済的に崩壊しているといってよいでしょう。崩壊大学院だけに。

ロースクールには、税金が投入されているのはもちろんですが、さらには修習生を貸与制にしてその生活費をも持ってきているので、経済的にまともな経営をしてもらわないと困ります。

そもそも多額の学費を必要とするという制度設計自体に無理があるので、ロースクールは廃止して給費制を復活させるべきだと思います。

また公金は除外して考えるとしても、法科大学院の経営が真っ赤だとすると、他学部の利益を回している、ということになるのでしょうか。

もちろん、大学運営も経営ですので、ロースクールが広告塔になるとして、その名前のためだけに維持する、というのも経営判断としてまったく不合理とも思われませんが、仮に私が他学部の学生やその親だとしたら、経済的利益ロースクールに持って行かれてしまっているということですので、面白くはないと思います。


法科大学院制度を称賛する新任検事

新任検事:「初心忘れず」74人に辞令 女性は29人
http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m040034000c.html

法科大学院制度には課題もあるが、平山さんは「大学で法律を学んでいない者にも法曹への道を開いてくれるありがたい制度」と評価

法科大学院制度が、多くの人間の法曹へのチャレンジの道を閉ざしていることは、適性出願者の激減を見ればあきらかでしょう。

サンプル数1の個人的な経験から、平山氏が個人の感想としてロースクールに感謝するのは自由ですが、法科大学院制度という「制度」を評価するのならば、一般的な効用と副作用を検討するべきでしょう。

「初心を忘れず、温かみのある検察官になりたい」と語った。

平山氏はこのような語ったとのことですが、ロースクールの障壁に阻まれて法曹の道を断念した人といった、表には現れない人の痛みに思いをめぐらすことも重要なことでしょう。

また、そもそも論ですが、ロースクールがそれほど素晴らしいものであれば、司法試験受験資格を独占などしなくても、ガチンコで予備校や独学?と勝負して、その素晴らしさを認めさせて受験生を集めればいいのです。


法科大学院、淘汰加速で3割消滅 導入から10年、甘い制度設計の綻び生んだ文科省の罪」

法科大学院、淘汰加速で3割消滅 導入から10年、甘い制度設計の綻び生んだ文科省の罪
http://biz-journal.jp/2014/12/post_8436.html

発足からわずか10年で、なぜここまでの惨状に陥ったのか。資格専門学校の講師は「乱立の容認が一番の原因」と指摘する。

この中で「惨状」の原因について、「資格専門学校の講師」はこのように語っていますが、それでは入学者を3000人に制限して、合格者2000人を出し続けていれば、適性出願者が3万人、4万人と集まり続けたか、というと、そうは思えません。

「惨状」の原因の1つは、弁護士の需要を読み違えた供給過多により、弁護士の経済的価値を低下させて職業の魅力の損なったことでしょう。

もっとも、そのような状況でも、予備試験の受験者は増え続け、予備校に通う人も多くいることを考えると、弁護士の価値低下だけが原因とは思えません。

もう1つの原因は、ロースクールの教育サービスの質が大したことがない、という点に求められるでしょう。


その他、法科大学院制度関係のブログ

以下、目にした法科大学院制度関係のブログをご紹介します。

やっぱり世界は**しい!

文部科学省における法科大学院の強化と法曹養成の安定化のための抜本的改革の推進
http://blog.livedoor.jp/kamisamadq7/archives/7990198.html

弁護士吉岡毅の法律夜話

小学生が英語を話せるとロースクールで法的思考力が身につく話
http://www.bengonin.com/2014/12/23/eigo-lawschool/


また、両論併記ではないですが、以下の与太記事も目にしたのであげておきます。

文科省法科大学院改革 合格率は上がるか? | Benesse 教育情報サイト ヘッドライン
http://benesse.jp/news/kyouiku/trend/20141225120014.html

詳しいことは知りませんが、Benesse的にはロースクールがあった方が経営的に好都合なのでしょうか。