タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「法曹養成制度改革待ったなし」日弁連会長からのご挨拶

日弁連会長が、日弁連HP上で、新年の「ご挨拶」を公表されていました。

<法曹養成制度改革待ったなし>
残念なことに、若者の法曹離れが急速に進んでいます。優秀な若者が裁判官・検察官・弁護士を目指さなくなると、将来の司法の担い手がどうなるのか、そもそも司法が三権の一つとして人権や民主主義を守るためにきちんとその役割を果たすことができるのか、とても心配になります。
そこで、今、日弁連は、多くの有為の若者が法曹を目指すことができるよう、以下のとおり法曹養成制度全体の改革を提言しています。
法科大学院
統廃合と定員削減を進め、教育の質を高めます。
時間的経済的負担の軽減を図ります。
②司法試験
合格率を高めるとともに年間合格者を1500人程度にします。
③司法修習
司法修習の一層の充実と司法修習生に対する給費の実現、修習手当の創設を含む経済的支援の充実を図ります。
年間の司法試験合格者を1500人程度とすることは、制度全体の改革図面を作成する上で鍵となります。また司法修習生に対する経済的支援は、若者の法曹離れを克服するために不可欠です。
日弁連は、司法修習生の就職支援と若手弁護士支援に努め、弁護士がさらに多様な分野で活躍できるよう活動領域の拡大に取り組み、弁護士の魅力を高めてまいります。


2015年(平成27年)1月1日
日本弁護士連合会会長 村越 進(むらこし すすむ)

http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/message.html

そもそも論ですが、「司法試験合格者を1500人程度」にするなら、ロースクールは不要なのではないでしょうか。
旧司法試験でも、1500人の合格者を出していた年もありました。

これ以上に、2000人、3000人と合格者を輩出する必要があるという前提から、その下位者を底上げするためにロースクールが必要とされたはずです。
逆に言えば、上位の1500人程度は、実力十分ですのでロースクールを必要としないということになります。

しかも、ロースクールを廃止すれば、給費制も問題なく復活させることができます。(「司法修習生に対する給費の実現」)

さらに、ロースクールの経済的、時間的負担がなくなれば、「優秀な若者が裁判官・検察官・弁護士を目指」すようになります。(「若者の法曹離れを克服」「時間的経済的負担の軽減を図ります」)

また、「統廃合と定員削減を進め、教育の質を高めます。」とありますが、ロースクールの「統廃合と定員削減」を進めると、なぜ「教育の質を高」まるのかが不明です。

教育の質を高められるのならば、この10年の中でとっくにやっているでしょう。

仮に法曹の質ということで言えば、3000人のロースクール生から選んだ1500人より、3万人の志願者から選んだ1500人(一発試験制度の場合)の方が、質が高いと推測されます。

それに、統廃合が進むと、例えば地方ロースクールが廃校になれば、その地方在住の若者が法曹を目指しにくくなります。
普段、ロースクール憲法の授業では、「多数決原理の採られる政治部門では実現されにくい少数者の人権を保障する」とか言っているのでしょうけれど、そのロースクール制度が少数者である地方在住者の法曹を目指すチャンスを不当に狭めていいのでしょうか。

それとも、ロースクール制度を補完する制度として、予備試験制度を拡充するつもりがあるのかと言えば、拡充どころか制限しかねない勢いです。

このように、法の支配を教えるロースクールですら、少数者の権利をないがしろにしているわけですから、日本の社会はまだまだ法の支配が行き届いておらず、数多くの法曹を輩出して法の光で照らす必要があるのですね!(んなアホな!)

どのように検討しても、合理的に考えれば、ロースクール制度は廃止の一択しかないように思われますが、どうなるのでしょうか。

今年も法曹養成制度改革の動きを生暖かくヲチしていきたいと思います。

それでは、今年も何卒よろしくお願い申し上げます。