◇司法試験(しほうしけん)の合格率(ごうかくりつ)が低迷(ていめい)。ピーク時の74校が45校に
アウルさん 法科大学院(ほうかだいがくいん)が減っているそうね?
A 2004年度に68校で始まって、翌年にピークの74校に。その後は徐々に減って、募集停止(ぼしゅうていし)を発表していないのは45校(8日現在)だけだ。
ア どうして?
A 飛躍的に増えるとされていた弁護士の需要が、増えていないんだ。
それなのに弁護士が激増したから、需要と供給のバランスが崩れて、弁護士の経済的価値が低下してしまったんだ。
それで、法曹志願者が法曹になるのを避けるようになって、ロースクールの入学者が減り、経営難からロースクールも潰れていっているんだ。
ア それなのに弁護士を増やし続けるの?
A ロースクールの経営を維持するためには、ある程度の学生数をキープしなければならないんだ。
そのためには、司法試験合格者もある程度の人数でなければならないんだ。
ア ロースクールは何をしてるの?
A 主に学者教員が講義形式で授業をしているよ。
試験対策をしてはいけないので、大学の講義とほぼ同じだね。実務家教員もいるけどね。
模擬裁判など実務を意識した授業も一部でされているけど、受かるか受からないか分からない段階でやるより、修習でやったり、OJTで学んだほうが効果は高いだろうね。
また、2年〜3年、社会生活をいったん停止して受験勉強に専念しなければならないので、普通の社会人にこうした生活はできないよ。
未修者や他学部出身者も減っていて、多様性が失われているよ。
ア それなのにロースクール制度は廃止されないの?
A 司法制度改革の立て直しを検討する有識者会議には、ロースクール関係者が多数入ってロースクール維持のための発言を繰り返しているから、難しいだろうね。
それどころか、予備試験がとばっちりを食らって制限されそうな勢いだよ。
ア 法曹志願者には厳しいことだらけだね。
A 法曹志願者の母数が減ってしまえば、法曹の質が維持できず、ひいては司法サービスを受ける国民の不利益につながりかねないからね。
国は引き続き改善策を話し合うけど、ロースクールの利益ばかり考えず、法曹に関わる人全体の幸せを考えた議論(ぎろん)が必要だね。