タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「法科大学院 抜本的改革で再生を図れ」西日本新聞2013年09月04日

珍しくロースクールに厳しい論調の新聞記事がありました。

法科大学院 抜本的改革で再生を図れ
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/37423

内容にそれほど深みはありませんが,ロースクールに対して極めて否定的な評価がされています。

検討会議の結論を受け、政府は司法試験の合格者を年間3千人とする計画の撤回を含めた提言を了承した。
だが、これらを実行したとしても対症療法にしかなるまい。
いま必要なのは法科大学院制度の課題を徹底的に検証することだろう

法科大学院制度の課題を徹底的に検証するのは今でしょ!とのことですが,最近考えるのは,ロースクールは採算ベースにのらない新技術に似ている気がします。

例えば,こんな記事がありました。

世界初の人工肉バーガーの味は? ロンドンで試食会

作製にかかった約3300万円の費用は、匿名の資金提供者からの援助などでまかなった。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35035597.html

食料問題への1つの答えともなる夢のある技術ですが,まだコストがかかりすぎて実用化は難しいようです。

ロースクール制度もこれと似ていて,ロースクール構想,すなわちロースクールで学者・実務家から2年〜3年学んだ者が司法試験を受験して弁護士になる,という構想も,抽象的,観念的には考えられなくもないですが,それにかかるコストを考慮すると,とても実用に耐えられない制度なのだと思います。

そういう意味では,「法科大学院制度の課題を徹底的に検証する」というのもまだ生ぬるくて,コスト面も含めて考えて,そもそも実社会で成立しうる構想であったのか,まで立ち帰ってロースクール事業の是非を検討してみるべきではなのでしょうか。