タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「弁護士失墜の大元凶、ロースクール解体勧告」風間 直樹 :東洋経済 記者2013年09月10日

オンラインで読めるようになっていました。

弁護士失墜の大元凶、ロースクール解体勧告
http://toyokeizai.net/articles/-/19249

内容面に異論はありません。
言論統制が引かれているわけでもないのに,こんな当然のことがようやくマス媒体で記事になるということが,ある意味では異常なのですが。

ただ政府の閣議決定を踏まえれば、予備試験合格者の司法試験合格率(現68%)とロースクール修了生の合格率(現25%)が同水準になるまで、合格者数は増加していくことになる。

これに補足して,予備試験が加速度的にロースクール制度の崩壊を進めることを指摘しておきたいと思います。
以下は拙ブログの過去エントリーです。

この理屈でもって,予備試験の合格者を,その司法試験合格率がロースクール卒業生のそれに近づくまで増やしていくと,蟻の一穴で堤が決壊するように,法科大学院制度は崩壊するでしょうね。

つまり,優秀な人材はどんどん予備試験に流れ,優秀でない人材がロースクールに行く結果,ロースクール全体の学生の質が下がり,ロースクール卒業生の司法試験合格率が現状よりもさらに低下するので,ますます予備試験合格者を増やさなくてはならなくなる,ということになります。

そして,予備試験が受かりやすいということになれば,優秀な人材はさらに予備試験に流れます。
こうして,ロースクールの学生の質と,予備試験志望者の質の差は,加速度的に広がります。

拙ブログ
法曹養成制度検討会議第4回議事録,井上委員2012/11/29
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20121224/1356340433

もっとも,ロースクール推進派が,素直に制度が朽ち果てるのを手をこまねいてみているだけとは思えません。
予備試験の年齢制限や,人数制限など,ロースクールの保身という真の意図を隠したまま不合理なことを言い出すことは必須でしょう。

いつか空から女の子が落ちてきて,ロースクールバルスを唱えてくれるのを,首を長くして待とうと思います。