法曹養成のプロセスについて,即物的なものに例えて考えてみました。
例えてみるのは,三日月湖です。
三日月湖ができる経緯は,以下のようになります。
川のカーブのうち,内側は流れが遅く,土砂が堆積する。外側は流れが早く,岸を侵食する。
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カーブの曲がりが大きくなる。
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川の蛇行が大きくなると,水が真っ直ぐに進もうとする力が強くなる。
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水が真っ直ぐに進み,川の流れが変わる。
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蛇行部分は入り口と出口の部分に土砂が堆積してふさがり,湖(三日月湖)になる。
参考サイト
地形からわかること①|【大地の変化】の達人
http://earthsciences1.juniorhighschool-science.net/change/index.php
では,法曹養成のプロセスはどうなっているでしょうか。
以前は,旧試験から修習,就職(OJT)と,直線的なプロセスとなっていた。
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法科大学院という時間(費用も)がかかる迂回路が強制されるようになった。
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迂回路のあまりの迂遠さ(負担)が嫌われ,法曹志願者の間で,この迂回路を通らずに直線的に司法試験に進みたいというニーズが高まるようになった。
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予備試験が始まり,直線的に司法試験に進めるルートとして,多くの人が流れるようになった。
一方で,「本流」である法科大学院ルートへ流れる人は少なくなった(今ココ)。
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直線的な予備試験ルートが事実上の本流となり,迂回する法科大学院ルートは少数の留年者や三振リベンジ組が滞留する場と化した(三日月湖化)。
というのが,自然の摂理に従った結末と予想されます。
これが現実となったときは,もはや予備試験ルートは事実上の原則ルートとなり,「エリート」が目指す道でもなんでもなくなって,予備試験受験者に対する誹謗中傷も,的を射ないものとなることでしょう。
ロースクール側の考えられる対策としては,迂遠さ(負担)を極力減らして,直線ルートと迂回路の差を少なくしていくことでしょう。
ローの教育が素晴らしいものであれば,ロー修了を司法試験受験資格から外しても,十分に学生を集められるはずであるにもかかわらず,頑強に受験要件であることを保持したいことからすると,ローには司法試験受験資格を(原則)独占していることしか売りがないことは,ロー賛成派も分かっているものと思われます。
そうであれば,余計なサービスは極力削除して,費用的,時間的な低コストを実現し,他ローとの差別化を図り,端的に司法試験受験資格を売りにいくスタイルのロースクールが現れてもいいと思っています。
具体的には,費用面では,校舎など設備が質素であることは当然として,選択できる科目数を最低限にし(教員が少なくて済む),また時間面では,余計なレポートを課さないことはもちろん,予習をしなくとも授業を受けられるようにする(授業の拘束時間内にテキストを読む時間を設けて,実質的にここで「予習」をする)などして,学生の自主的な受験勉強を邪魔しないようにすることが考えられるでしょう。