タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「地方・夜間法科大学院シンポジウム無事終了!!」菊間千乃弁護士2013/1/22

終了したそうです。
まずは,お疲れ様でございました。

地方・夜間法科大学院シンポジウム無事終了!!
http://blog.livedoor.jp/yukinokikuma/archives/22534129.html


菊間弁護士のこのブログ中の主張を要約しますと,

ご自身が,ロースクール制度があったからこそ弁護士になれた,ハッピーになった。
ロースクールにはいいところもたくさんあるので,ロースクールを経験する機会を多くの人に保障したい,

概ね,このようです。


この主張で違和感があるのは,ご自身の経験にのみに依拠している点です。
(少なくともこのエントリー内に限れば)

制度の賛否を論じるのであれば,もっと広く利害状況を考察しましょうよ。

例えば,ある会社が,100万円の売上を上げて,経費が500万円かかったとしたら,400万円の赤字であり,これが続けば存続できません。

筆者の主張は,この「100万円の売上」の部分だけを取り出して,「会社を存続させましょうよ」と主張しているようなものに見えるのです。

それは,ロースクールだってヒップホップダンスを教えているのではないですから,まがりなりにも法律を教えているのですから,3年も4年を通えば,司法試験に役立つことも教えてくれるとは思いますよ。
「100万円の売上」的ないいこともしていると思います。

問題は,その教育の費用対効果が圧倒的に劣る点であり(経費が500万円かかる),それゆえに,経済力のない多くの法曹志願者が,「経済力」という法律の素養や知識以外の要件で,実質的に法曹への道が閉ざされているのが大きな問題なのです。


しかし,筆者の主張を良く見ると,「ロースクールを経験する機会を多くの人に保障する」というご主張ですので,ロー卒を受験資格から外し,誰でも司法試験を受けられる,そして,ロースクールは任意の教育機関として存続する,ということでも良さそうです。

ロースクールに費やすコストを払ってでも,ロースクールを経験したい人にとっては,その機会が失われませんし,ロースクールに払う費用がない,またはロースクールの教育に魅力を感じない,という人は,自力で勉強して司法試験を受験する機会が保障される,という,誰にとっても満足できる結果となりそうです。

仮に,ロースクールを強制しないと,ほとんど行く人がいなくなり,経営難から潰れてしまう,これを回避するためにロー強制を維持して,ロースクールを経験する機会を保障する,というのであれば,社会からそこまで求められていないものを,多方面に弊害を生じさせてまで守るべきなのか,という話にはなると思います。

ちなみに,筆者は,その受験した当時の現行法にのっとり正式に合格されたのであり,「2000人時代だから」などと揶揄する気持ちは私にはまったくありませんね。
抜群の知名度がありますし,ビジネス的にはスーパーな弁護士でしょう。

仮に,将来ロースクールが廃止されたとしたら,「ロースクール制度がなくなったから,一発試験制度になったからこそ弁護士になれた」,と言ってハッピーになる人もたくさん出てくると思います。
それは,その人が当時の現行法にのっとって正式に合格したのであり,筆者らロースクール時代の弁護士の存在とは矛盾しないものと思います。