タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

100万回生きたロースクール(中京大法科大学院の募集停止)

あるとき 53,876人を数えた適性試験出願者が ロースクールの不人気のため4,407人に激減しました。
多くの潜在的法曹志望者が なきました。

あるとき 修習生の給費制が ロースクールの赤字補填のために廃止され 貸与制になりました。
多くの修習生が なきました。

あるとき 新人弁護士が 無謀な増員計画のため 就職難で苦しんでいました。
多くの新人弁護士が なきました。

あるとき 予備試験受験者が ロースクールを維持するために不当に低い合格率に苦しんでいました。
多くの予備試験受験者が なきました。

ロースクールは 100万人の人たちを なかせました。
でもロースクールは なきませんでした。
ロースクールは 潜在的法曹志望者も 修習生も 新人弁護士も 予備試験受験者も きらいでした。
ロースクールは 自分が だいすきでした。


そんなロースクールを ロースクール関係者は 褒め称えました。

有識者会議は 1,800人より規模が縮小するとしても、1,500人程度は合格者が輩出されるよう、必要な取組を進めると言い、ロースクールをフォローしました。

朝日新聞は 「特殊詐欺などに巻き込まれる人、ストーカー・DV被害に悩む人は絶えない。助けがいる人に無料相談などの情報が届きにくい現実もある。」とさらなる弁護士増員を 主張しました。

推進派弁護士は 「弁護士のニーズは「供給」によって増大する」と放言し 失笑を買いました。


その中で 数少なくなった法曹志願者は 見向きもしませんでした。

ロースクールは 法曹志願者のそばにいって
「おれは 司法制度改革の理念に基づき 質・量ともに豊かな法曹を養成してるんだせ」と いいました。

法曹志願者は 「そう」 と言ったきりでした。

ロースクールは 自分がだいすきでしたから はらをたてました。

次の日も 次の日も ロースクールは、法曹志願者のところに行って 言いました。

「平成15年度には 53,876人の適性試験出願者を集めたんだぜ」

法曹志願者は 「そう」 と言ったきりでした。

「おれは 司法制度改革の理念に基づき・・・」と言いかけて ロースクールは「授業を始めていいかい」と尋ねました。

法曹志願者は 「ええ」 と言いました。

ロースクールは いつまでも授業をしました。



ロースクールは 46人の合格者をうみだしました。
合格者たちは 修習を経て それぞれ どこかへ 就職していきました。

ロースクールは  法曹志願者に いつまでも授業をしていたいと 思いました。



ある日 もともと少なかった法曹志願者は さらに数を減らし とうとうゼロになり 死にました。

ロースクールは はじめて なきました。
夜になって 朝になって また夜になっても、100万回もなきました。
ようやく なきやんだとき 中京大ロースクールは 募集停止し しずかに うごかなくなりました。

ロースクールは もう けっして 人をなかせることはありませんでした。

元ネタ

中京大法科大学院の募集停止 平成28年度から 定員割れ続き - 産経ニュース

 中京大名古屋市)は25日、平成28年度から法科大学院の学生募集を停止すると発表した。19年度を最後に定員割れが続き、今後も学生の確保が厳しいためとしている。

 中京大によると、法科大学院は16年に開設、これまでに46人が司法試験に合格した。法科大学院には現在22人が在籍しており、全ての学生が修了するまで授業を続け、その後、廃止も検討するという。
http://www.sankei.com/life/news/150625/lif1506250025-n1.html

【資料4】法曹養成制度改革推進会議決定(案)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai22/siryou4.pdf

(社説)法科大学院 特性生かす教育の場に:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/DA3S11810892.html

弁護士のニーズは「供給」によって増大する | 続・弁護士という民族 | 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/72088

100万回生きたねこ - Wikipedia

あらすじ
主人公の猫は、ある時は一国の王の猫となり、ある時は船乗りの猫となり、その他、サーカスの手品つかいの猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫、小さな女の子の猫…と100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。
その時、100万人の飼い主は猫の死にひどく悲しんでいたが、当の猫はまったく悲しまなかった。
主人公の猫は、飼い主のことが大嫌いだったのだ。

ある時、主人公の猫は誰の猫でもない野良猫となっていた。
「自分だけの事が好き」な主人公の猫は、100万回生きたことを自慢し、周囲のメス猫たちも何とか友達や恋人になろうと、プレゼントを持ってきたりして周囲に寄ってくる。

しかし、唯一 自分に関心を示さなかった一匹の白猫の興味をなんとか引こうとするうちに、いつのまにか主人公の猫は、白猫と一緒にいたいと思うようになる。
そして、白猫にプロポーズをするのであった。白猫は主人公の猫の思いを受け入れた。

そして時がたつと、白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で動かなくなった。
そこで猫は初めて悲しんだ。朝になっても昼になっても夜になっても、100万回泣き続けた。

そして猫も、とうとう白猫の隣で動かなくなり、それ以後生き返ることはなかった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/100%E4%B8%87%E5%9B%9E%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AD%E3%81%93

100万回生きたねこ』の猫、初のフィギュア化 - はてなニュース
http://hatenanews.com/articles/201506/23583