タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

司法試験受験資格を買いに(手袋を買いに)

雪の朝、このご時世に法曹になろうと予備試験合格を目指して勉強して帰ってきた子狐の冷え切った手を握りながら、母さん狐は保険的に司法試験受験資格を金で買ってやろうと思いついた。

夜になって町に出かける途中で、母さん狐は子狐の片手を握ってローの学費を子供の手に握らせた。
そして子狐に、町のロースクールへ行って戸を少しだけ開けたら、ローの願書を出して「司法試験受験資格をください」と言うように、と教えた。
間違って予備試験を受験する予定であることを知られてしまうとひどい目に遭うからと。ロースクール推進派は,予備試験受験者を,自分ができると勘違いした心の貧困な者と誹謗中傷しており,予備試験受験予定を知られると必ずロー入試を不合格にされてしまうだろうと母さん狐は心配したのだった。

子狐は町に着くとロースクールを見つけ戸を叩いた。事務局の人が戸を開けた拍子に差し込んだ光がまぶしくて、子狐はつい予備試験の願書の方を出して、「司法試験受験資格をください」と言ってしまった。

事務局の人は、予備試験が本命で,ローは予備試験に受からなかったときに保険的に司法試験受験資格を取るために入学するのだな,と思ったけれども,出されたお金が本物であることを確認すると黙って司法試験受験資格を渡してやった。

帰り道、家の中から漏れ聞こえる適性試験出願者が減り続けているというニュースを聴きながら帰った子狐は,母さん狐に「ロースクールってちっとも恐かない」と、間違って予備試験の願書を出したけれどロースクールは司法試験受験資格を売ってくれたことを話した。

母さん狐はあきれながら、「ほんとうにロースクールはお金さえもらえればいいものなのかしら」とつぶやいた。

元ネタ

手袋を買いに - Wikipedia

あらすじ
雪の朝、表を走り回って帰ってきた子狐の冷え切った手を握りながら、母さん狐は手袋を買ってやろうと思いついた。夜になって町に出かける途中で、母さん狐は子狐の片手を握って人間の子供の手に変えた。そして子狐に、町の帽子屋へ行って戸を少しだけ開けたら、人間の方の手を出して「手袋をください」と言うように、と教えた。間違って狐の手を出してしまうとひどい目に遭うからと。子狐は町に着くと帽子屋を見つけ戸を叩いた。帽子屋が戸を開けた拍子に差し込んだ光がまぶしくて、子狐はつい狐の方の手を出して、「手袋をください」と言ってしまった。帽子屋は、狐だなと思ったけれども出されたお金が本物であることを確認すると黙って手袋を渡してやった。帰り道、家の中から聞こえる子守歌を聴きながら帰った子狐は母さん狐に「人間ってちっとも恐かない」と、間違った手を出したけれど帽子屋は手袋を売ってくれたことを話した。母さん狐はあきれながら、「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいて物語は終わる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E8%A2%8B%E3%82%92%E8%B2%B7%E3%81%84%E3%81%AB

新美南吉 手袋を買いに 青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/637_13341.html