以下の資料の6ページに書いてありました。
法務省:第5回協議会(平成28年10月17日開催)
http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00143.html〔経営法友会提出資料〕
・資料8 企業における法科大学院修了者および社内弁護士の活用状況について(会社法務部第11次実態調査を踏まえて)[PDF]
http://www.moj.go.jp/content/001206616.pdf
4.法科大学院修了者・社内弁護士の処遇
それでは、つぎに採用後の処遇が、どのようになっているのか、見ることとする。(1)法科大学院修了者
同年代の大卒者と同等 23.0% 同年代の大学院修了者と同等 50.2% 何等かの優遇措置をとる 1.8% 専門職として処遇 0.5% その他 3.7% 同年代の学卒者・院卒者と同様が、併せると 73.2%となり、優遇措置や専門職としての処遇をするとの回答は、その他を併せても6%程度であった(無回答約 20%)。
ロースクール修了者,つまり司法試験に合格していない卒業生のようです。
優遇するのは会社は6%と少数であり,同年代の者と変わらない処遇をする会社が大多数のようです。
ロースクールの経済的,時間的負担を考えると,まったくペイしません。
(2)社内弁護士
弁護士を採用している企業に社内弁護士の処遇についてたずねたところ、過半数の企業が一般の正社員と同等であると回答している。
司法試験に合格した弁護士ですら,過半数の会社は,一般の正社員と同等の処遇しかしていないそうです。
ロースクールの経済的,時間的負担を考えると,まったくペイ(以下略)。
弁護士会登録者には、何等かの優遇措置を取ると言う回答が約4分の1あった。
その内容を見てみるとつぎのとおりである。
弁護士会費の負担 92.9% 弁護士会活動の承認 42.9% 資格手当の支給 14.3% 公益活動負担金の負担 12.9% 個人事件の受任承認 8.6% その他 2.9% 弁護士会費の負担をほとんどの企業が認めており、弁護士活動についても4割以上の企業で承認している。
以上のことから、基本的な給与や賞与は、一般の正社員と同等であるが、特別の処遇
として弁護士会費を負担することや弁護士会活動を承認していること、場合によっては
資格手当を支給している実態が見て取れる。
パーセントの合計が100%を超えているので,重複回答なのでしょう。
弁護士会費の負担をほとんどの企業が認めていますが,実費ですから,もしこれを個人負担とすると,経済的にはマイナスになってしまいますからね……
もちろん,ありがたいことには違いありませんが。
「公益活動負担金の負担」も,実費である点は同様です。
「弁護士会活動の承認」は,会社にとって経済的な出捐ではありません。
もし「業務時間内に弁護士会活動をすることが許されている」というなら,その時間分の給料をもらっているのに等しいですが。
直接の経済的利益の給付としては,「資格手当の支給」があります。
しかし,これは「14.3%」にとどまっています。
これらを見ると,ロースクールの経済的,時間的負担,無給の修習期間の借金を考えると,なかなかペイしにくいでしょう。
これから推察できる会社の本音としては,「ロースクール修了の経歴や,弁護士資格を特に評価していないが,他の社員と同じ条件であれば採用してもよい。ある程度真面目に勉強してきたとは言えるのではないか」という,行○書士や宅○資格に対する評価に近いものではないでしょうか。
もちろん,会社によっては弁護士資格を持った社員を必要としていることもあるでしょうし,また個々の社内弁護士の方の中には,優秀な方も多くいらっしゃることでしょう。
しかし,この資料を見る限りは,ロースクールにかかるコストに対して,会社の処遇は,かかるコストをペイするには不十分すぎると思えます。
社内弁護士の需要があるとしてロースクールを推進する人たちもいますが,もしこうした道も検討されている若者がいらっしゃるのであれば,その経済的リターンまで考えて慎重に進路を決めて頂きたいものです。
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