タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

詐欺で訴えられる米ロースクールと詐欺未遂の日本のロースクール

ロースクールが詐欺行為を働いたとして,学生に訴えられたそうです。

米女学生 就職先を紹介できなかったと大学を訴える

米国のトマス・ジェファーソン記念法律学校(Thomas Jefferson School of Law)で、卒業を前にした女子学生(37)が、2008年からこれまで、自分の専門に合った職業を見つけられなかったとして学校を裁判所に訴え、話題になっている。新聞「ニューヨーク・タイムス」が6日、報じた。

この間、彼女が勉学のため負った借金は、17万ドルに達した。彼女は、雇用統計を用いて詐欺行為を働いたと、学校側を非難している
以前にもこうした訴えはあったが、今回は、初めて裁判まで持ち込まれた。ここ数年間で、米国では、様々なロー・スクールの卒業を控えた学生達が、訴訟の試みをしてきた。しかし裁判所は「仕事探しは、各学生の個人的な課題であり、学校は就職先を保証してはくれないと理解すべきだ」との判断を示してきた。
http://jp.sputniknews.com/us/20160310/1751817.html

一方,日本のロースクールは,態勢は詐欺的かもしれませんが,学生が情報を知っているため錯誤に陥らずに,詐欺未遂にとどまるそうです。
良かったですね…

p27
○井上委員 (東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授)
1点だけ。
基本的な情報は,入試のパンフレットというよりは,各校の基本的な情報は開示するようにと,そういうことになっていまして,認証評価でもその点はチェックされます。
それと今の御前提では,学生はだまされて入ってくるんじゃないかということなんですが,私はロースクールをずっと回って学生にも直接インタビューするんです。
学生は基本的な情報は十分知っています
十分知っていて何で入ってくるのと,こういういやらしいことを聞くんですけれども,自分が努力すれば自分だけは別だろうと,こういう感じの人がいて,態勢は詐欺的かもしれませんが,被害者は詐欺に遭っていない
ちょっとここのところはまずいんですけれども,情報は十分彼らも知っています。

法曹養成制度検討会議 第5回会議 議事録
http://www.moj.go.jp/content/000105971.pdf


司法制度改革とは直接の関係はありませんが,日本の弁護士でアメリカのロースクールに通われている方の面白い記事がありましたので,リンクを張っておきます。

(1)アメリカのロースクールで、今まで身につけた勉強法を一から再定義した話 / Y K | STORYS.JP
http://storys.jp/story/21468