タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

法律知識を使わず話し相手になるだけの弁護士?

塙:社会人から弁護士に転身することは、十分に可能です。旧司法試験の時代から、社会人として会社に勤めながらも、通勤の時間帯を活かして音声教材などで学習したり、終業後や休日を利用して受験勉強や答案練習したりして、模擬試験の受験などを繰り返し、司法試験に合格した人はいました。

土屋:旧司の時代と今は違いますけどね。ローに通って時間的に拘束されながらフルタイムで働くのは,ほぼほぼ不可能ですけどね。

塙:また、司法制度改革によって法科大学院制度が導入され、司法試験のしくみが変わったことも、社会人から弁護士に転身する流れに拍車を掛けました。

土:司法試験受験資格を得るためだけに,2年~3年の学生生活をしなければなりませんけどね。

塙:そもそも法科大学院制度は、法学部出身者でない多種多様な人材を法曹界に迎え入れることによって、さまざまな専門分野や職務経験、多様な人生の背景を持つ法律実務家を養成するためにつくられたのです。

土:・・・という理念で始まりましたが,小手先の改革が理念に逆行すると激しい批判を受けているのですよね。

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塙:旧司法試験が、法学部を出て数年間の司法浪人の末に合格を目指す人々が大半を占めており、受験テクニックはあるけれども社会人としての基本的経験や法律以外の基礎知識が決定的に欠けている弁護士が目立っていたという反省がありました。

土:現状でも,受験生の大半を占めるロースクール生は,司法浪人をする人や,社会人経験がない人も多いのて,旧司と変わらないですね。

塙:法学部を出ていても出ていなくても、法科大学院の門戸は広く開かれています。

土:門戸が開かれているのは確かですね。弁護士の経済的価値の凋落によって,誰も門戸をくぐろうとしないだけで。

塙:法学未修者については、法科大学院のプロセスは1年延長され、3年間の課程を修了しなければ司法試験の受験資格は得られません。

土:社会人が現職を投げ売って,3年間無職になるわけですね。その後,合格できる保証もありませんし。

塙:法学既修者よりも司法試験合格率が下回っているとの統計もあります。しかし、それはあくまで統計上の数値です。
仮にあなたが法学部以外の出身の社会人だとしても、モチベーションを高く保ち、司法試験の受験準備に、相当な時間的・経済的リソースを投入できれば、合格して弁護士に転身することは十分に可能なのです。

土:その理屈だと,統計は意味がないということになりませんか。高い学費を払ってローに入学するモチベーションの高い集団でも,合格率が低いというは,大きなリスクですね。旧司のときのような記念受験の人はいないのですよ。

塙:社会人経験がある新人と、社会人経験なしで司法試験に受かった新人で比べたとき、就職や転職がしやすいのは、一般的に社会人経験がある弁護士だといえます。

土:どのような理屈でしょうか。

塙:弁護士が扱うのは、実際の社会で勃発した生の法律トラブルです。社会人経験がない新人でも、テキストに書かれた机上の問答なら十分に対応できますが、実際の事件は背景や奥行がまったく異なり、深みも増します。

土:社会人経験のないロースクール生は,役にたたないですね。

塙:社会人経験があった方が、どのようなしくみで世の中が動いており、どんな場合に人は騙され、落とし穴に落ちるのか、何をすれば有利に世の中を渡れるのか、などを心得ている傾向が強いのです。

土:ロースクールなどを司法試験受験資格要件にしないで,社会人経験を要件にするべきですねー。

塙:法律相談を持ちかける相談者も社会人であることが多いので、社会人経験のある弁護士の方が、話に共感できることが増えます。
法律知識を武器にして、強制力をもって解決すべき場面は実際には決して多くなく、「ただ、話を聞いてほしい」という動機で法律相談が持ちかけられるケースも少なくありません

土:紛争が発展し,強制力ある裁判になったときのことを想定せず,雑談をして場を濁すだけなら,もはや法律家ではないですね。単なるおっさんですよ,それは。

元ネタ

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