タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

スピード

ジャックは,予備校に通って旧司法試験に合格する。  

修習に向かおうとしたジャックの背後で,旧司法試験が爆破・廃止される。  

その犯人は,予備校に学生と受講料を横取りされたと邪推した,大学の法学者だった。

 

犯人は,学生を取り返そうと,新しい法曹養成制度であるロースクールを創設し,司法試験受験資格を人質にとって,法曹志願者に莫大な経済的負担(学費)と時間的負担を要求した。  

しかし,ロースクールは,合格者が1500人を切ると,弁護士増員の大義名分が失われて瓦解する脆弱な制度であり,犯人は,なんとしてでも毎年1500人以上の合格者を出さなければならないしろものだった。

 

ジャックは,法曹需要もないのに毎年1500人以上もの過剰な法曹を輩出し暴走するロースクール制度に立ち向かい,予備試験ルートを通じて司法試験受験資格の救出を試みるのであった。

 

eiga-watch.com

 

 

 

 

法科大学院定員割れ問題 - Wikipedia

この国の司法にそんな由々しき問題が。

ja.m.wikipedia.org

定員割れの原因

法科大学院における定員割れ・志願者数減少の原因については、法科大学院制度自体は是とする論者と、法科大学院制度自体に批判的な論者との間で大きく見解を異にする傾向がある。前者の立場に立つ論者は、新司法試験の合格率低迷と予備試験制度が定員割れの原因であり、予備試験の受験資格を制限すれば問題は解決に向かうなどと主張する一方、それ以外の原因は無視する傾向にあるのに対し、後者の立場に立つ論者は、司法試験合格者数の過剰による弁護士業界の深刻な就職難、法科大学院経由では法曹となるまでの時間的・経済的負担が大きすぎること、法科大学院の教育内容が司法試験にも実務にも直結していないことなどが定員割れの問題であり、法曹志望者を回復させるにはもはや法科大学院制度を廃止する(法科大学院修了を司法試験の受験資格から外す)しかないなどと主張する傾向がある

法科大学院制度自体は是とする論者は,新司法試験の合格率低迷と予備試験制度,それ以外の原因は無視する傾向にある(!)
そ ん な ひ ど い ひ と た ち が い る の で す ね

新司法試験の合格率

法科大学院を修了すると「法務博士(専門職)」という学位が授与され、5年間に3回まで(平成27年以降は5回まで)新司法試験を受験することができるが、その期間内に合格できなければ受験資格を失ってしまう。司法試験の受験資格を喪失した法科大学院生は、俗に「三振博士」「三振法務博士」などと呼ばれ、予備試験に合格するか法科大学院に再入学しなければ再度司法試験を受験することはできない上に、年齢等の問題から一般企業等に就職するのも難しく、いわゆるワーキングプアニート、引きこもりといった状態になってしまう者も少なくないと言われている

そんな深刻な問題が。

司法試験予備試験制度の導入

法曹を目指す学生の間では、「予備試験で受からなかった人が行くのがロースクール」という印象が定着し、法曹を目指す優秀な法学部生は予備試験合格を目指して法科大学院に進学しない傾向にある、法科大学院に進学した者も予備試験の受験を続け、法科大学院の授業よりも予備試験の受験勉強を優先する傾向にあるほか、予備試験合格により法科大学院を早期に退学することを目指している学生もいる、との指摘もある。

そんな学生が。

弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少

法科大学院制度の導入に伴い司法試験の合格者数は従来より大幅に増員されたものの、当該増員を必要とするだけの法曹需要はそもそも存在しなかったことになる。このように具体的必要性を欠く法曹人口拡大政策により、弁護士の求人市場は大幅な供給過剰となり、特に若手弁護士の多くは深刻な就職難、経済難に喘いでいる旨が繰り返し指摘され、多額の学費を支払って法科大学院に入学し苦労して弁護士資格を取得しても経済的には割に合わないことが社会にも広く周知された結果、法科大学院の大幅な入学者数減少、定員割れを招いた可能性は否定できない。

そんな割に合わない職業は,人気が落ちて当然ですね。

法曹志望者の大幅な減少、法曹の質の低下の懸念

椎名毅委員(みんなの党)が、司法改革以前と比較して司法試験の合格者数が倍増しているにもかかわらず、判事補への採用人数が年間100人前後で推移している点について、「司法制度改革を行って、新司法試験に受かった人たちの成績が余り期待できていないという意味なんでしょうか」と質問したところ、安浪亮介最高裁判所事務総局人事局長は「私どもとしては裁判官になってほしいと思う者であっても、弁護士事務所の方に行くという者もおりますし、その一方で、やはり裁判官として仕事をしていく上では、裁判官にふさわしい資質能力を備えた者でなければならないということもありますもので、修習生の数がふえたからといって、直ちに判事補として採用する者が増加するという関係にはないというふうに見ております」と答弁している。

「弁護士事務所の方に行くという者」は,司法制度改革前から一定の割合でいたでしょう。
つまり,司法制度改革が始まってから,「弁護士事務所の方に行くという者」が特別に増えたという事情がなければ,合格者が激増すれば,裁判官を希望する者も比例して増えるはずです。
それにもかかわらず判事補の採用人数が増えないのは,もう1つの理由,すなわちロースクール制度になって「裁判官にふさわしい資質能力を備えた者」が少なくなったことが原因と考えられます。

法科大学院を避けるアイデア

予備試験実施

大学生や法科大学院生が多く受験する。

予備試験のあり方を優先的に検討。

「(法科大学院のない)居住地のみ受験を認める」

法科大学院のない居住地に引っ越す。

法科大学院卒業程度の年齢までの受験制限」

法科大学院卒業程度の年齢まで待機する。

法科大学院生の受験禁止」

法科大学院へ入学しない。

ロースクール教育が崩壊する」 司法試験受験「在学中に可能」案に強い反発 - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/other/n_8909/

ヒロシのネタ風に語る司法制度改革

ひローしです……

一発試験の弊害を訴えて旧司を廃してロースクールを作ったのに,全然学生が集まりませんっ。

質の低下を防ぐために,ペーパー試験(「共通到達度確認試験」)を導入するとです……



ひローしです……

経済的にロースクールに通えない人のために,例外ルートとして予備試験を設けましたぁ!

……予備試験が毎年,合格率トップです……



ひローしです……

ロースクールから予備試験に若者が逃げないように,予備試験の合格率を厳しく制限しましたぁ!

法曹の道から若者が逃げたとです……



ひローしです……

ロースクールの経営が回らないので,修習生の給費制を廃止しましたっ!

5年で一部撤回に追い込まれました……



ひローしです……

司法試験の合格率が低いので,全然,入学者が集まりませ〜んっ!

合格率3%の旧司のときは,5万人の受験者が集まっていました……



ひローしです……

優秀な若者をロースクールに囲い込むために,3+2の法曹コースを創設しま〜すっ!

でも弁護士になったときの年収は300万円でした……



ひローしです……

企業内弁護士や任期付公務員弁護士には,まだまだ潜在的な法曹需要が眠っていま〜すっ!

……言ってみただけとです……


元ネタ

お笑い芸人の「ヒロシ」のネタを何個か教えて下さい。明日「ヒロシ」の... - Yahoo!知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q104563185

法科大学院、進級に共通試験導入へ 合格率の低下受け
https://www.asahi.com/articles/ASL7Z3F1CL7ZUTIL01G.html

シュレーディンガーのロースクール(近畿大学法科大学院の募集停止)

箱とロースクールを用意する。
箱に潜在的な法曹志願者を入れる
潜在的な法曹志願者は,費用対効果を見極めて職業を選択する。その際,優秀な若者が選びそうな魅力的で高収入が得られる別の職業も入れる。

ロースクールは,それぞれ市場経済の中で運営されており、もし入学者が減り続けると、ロースクールは廃校する。
ロースクール全体で見ると,2018年6月16日までに,ちょうど半減することが確認されている。

ロースクールを箱に入れ、蓋を閉め中を観測できないようにする
この実験の場合、ロースクールの生死は,潜在的な法曹志願者(若者)の職業選択にのみ決定されると仮定する。
さて、2018年6月16日の時点で,箱の中のロースクールは死んでいるのか生きているのかどっち?

この実験で箱のなかのロースクールは、観測者が箱を開けて中を観測しない限り、生きているロースクールと死んでいるロースクールが50:50で重ね合わせで存在している事になる。

つまり箱の中のロースクールはふたを開けて観測するまで、生きてもいないし死んでもいないことになる。

ふたを開けて観測した場合は,観測した瞬間に,ロースクールは重ね合わせの状態から,観測者の主観により,需要と供給のミスマッチが生じているだけで,まだまだ弁護士の潜在的需要は眠っているのあって,集中改革して生きすべき有望な制度か,弁護士インフレ化による経済的価値の低下とともに,若者からオワコンとみなされた死んでいる制度か,どちらか一方に収束する。

元ネタ

法科大学院がピークの半分に 人気低迷、募集停止相次ぐ:朝日新聞デジタル

 法科大学院が、ピーク時の半分に減ることになった。2004年の制度開始後には最大74校に達したが、人気の低迷で学生募集をやめる大学院が相次いでいるためだ。13日には近畿大大阪府東大阪市)が募集停止を発表し、19年度に学生を受け入れるのは37校の予定となった。

https://www.asahi.com/articles/ASL6F65CHL6FUTIL057.html

シュレーディンガーの猫とは (シュレーディンガーノネコとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%8C%AB

はてな匿名ダイアリー

東京の大学(偏差値60くらい)の文学部なんだけど将来が見えてこない
自分だけじゃなく文系のみんなはだいたいそうみたい
弁護士会計士はもうオワコンとかサークル仲間の子たちは言っている

https://anond.hatelabo.jp/20180420150852

地球最後のロースクール(横浜国立大法科大学院の募集停止)

2000年代から2010年代、旧司法試験を廃止に追いやった後に,法曹志願者を激減させた法科大学院制度が、日本中に蔓延した。経営難から多くのロースクールが滅びる中、生き残った数少ないロースクールは、学生が激減し閑散とした教室の中で,孤独感に苦しみながら、新聞各社と癒着しては,志願者減少の原因は司法試験合格率の低さであるとデマを流したり、法曹コース創設という弥縫策を実施したりと、入学者増加の方法を研究し続けるのだった。

そんなある日、ロースクールは,太陽のように明るく活発な女性を発見し、ロースクールに引きずり込むように入学させる。その女性はやがて自分が隠れ予備試験受験者であること、そしてロースクールに法曹養成課程から撤退するように告げて,予備試験の合格発表日以降,突如消息を断つが、ロースクールは,結局,法曹養成課程に留まり続ける。

そしてある夜、暴徒のような入学者減少の波が首都圏をも襲撃し、周囲に集っていた地方ロースクールを殺戮した上、抵抗する横浜国立大法科大学院を痛めつけて連行する。

そして横浜国立大法科大学院は、周囲の国民が,処刑されようとする自分を見る目に恐怖が宿っていること、そして国民にとって、自分こそが、弁護士の経済的価値と職業的魅力を激減させまくる伝説の怪物(Legend)であることに気づくのだった。

横浜国立大:法科大学院の募集停止 19年度から - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180606/k00/00m/040/133000c

地球最後の男 - Wikipedia

あらすじ
1970年代、人間を死に追いやった後に吸血鬼として甦らせる吸血ウイルスが、世界中に蔓延した。人類が滅びる中、ただ一人生き残ったロバート・ネヴィルは、夜な夜な自分の家の周囲に集い、騒ぎ立てる吸血鬼たちと孤独感に苦しみながら、昼間は眠る吸血鬼たちを狩り出して杭を打ち込みながら、生活必需品の確保と、吸血鬼退治の方法を研究し続けるのだった。

そんなある日、ネヴィルは太陽の下で活動する女性を発見し、自宅に引きずり込む。ルースと名乗る女はやがて自分がスパイであること、そしてネヴィルにこの場所から逃げるように告げて姿を消すが、ネヴィルは結局自宅に留まり続ける。

そしてある夜、暴走族のような集団がネヴィル邸を襲撃し、周囲に集っていた吸血鬼たちを殺戮し、抵抗するネヴィルを痛めつけて連行する。彼らは吸血ウイルスに冒されながらも生き残り、新たなコミュニティを形成する「新人類」であった。

そしてネヴィルは、彼らが処刑されようとする自分を見る目に恐怖が宿っていること、そして彼らにとって、自分こそが「人々」が寝静まった頃に街を徘徊し、「人々」を殺戮しまくる伝説の怪物(Legend)であることに気づくのだった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%94%B7

「若者は法科大学院へ行くな」法科大学院のメッセージに「泣きそうになった」と反響

若者は法科大学院へ行くな,

という時代になった。やれプロセスによる教育だったり,やれ訴訟業務にとらわれない弁護士の業務範囲の拡大だったり,時代が変わる,というけれど,いちばん変わったのは弁護士の経済的価値の低下による職業的魅力の暴落かもしれない。
いま,優秀な若者の目の前には,いくつもの選択肢が広がっている。
その分,「法学部に入ったからには弁護士を目指そう」,という時代ではなくなり,若者たちは,あたらしい魅力的な職業に直面する時代になっている。
「合格しても就職口がない,年収は300万円だ」,その不確かな不安を回避し,自分の人生を謳歌するためには,若者たちは,弁護士志望を避けることができる。
この経済的合理性から見たごくあたりまえの選択を,どうか忘れずに。いのちだいじに。

若者たちがまだ,ローの態勢が詐欺的であることを知らないと,ローは詐欺既遂になってしまうのでやむなく告知します。

元ネタ

「女は大学に行くな、」―― 神戸女学院大学のメッセージに「泣きそうになった」と反響 胸を打つ広告はいかにして生まれたか - ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1804/06/news147.html