タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「司法試験合格者1543人 17年、前年より40人減」日本経済新聞

今年の司法試験合格者は1543人でした。

司法試験合格者1543人 17年、前年より40人減  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG12HAS_S7A910C1000000/

「今年の合格者は1543人かぁ……
1500人だと弁護士激増が止まらないのに。
わかってるのかなぁ……」

参考記事

「17弁護士会が声明「司法試験合格者のさらなる減員を」「1500人でも供給過剰」」(弁護士ドットコム) - タダスケの日記

17弁護士会が声明「司法試験合格者のさらなる減員を」「1500人でも供給過剰」 - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/internet/n_5532/

弁護士数の話に戻って,弁護士人口の将来予測(シミュレーション) のデータがありました。
新規法曹を1500人に維持し続けた場合の数字です。

弁護士人口の将来予測(シミュレーション) (PDFファイル;1.3MB)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2016/1-3-7_tokei_2016.pdf

弁護士人口 弁護士1人あたりの国民数
2016 37651 3491
2017 38658 3253
2018 38545 3167
2023 44397 2751
2028 49252 2402
2033 54016 2110
2038 58639 1863
2043 61781 1687
2048 63715 1556
2053 60486 1554
2061 57265 1496

2016年には,弁護士人口は37651人「弁護士1人あたりの国民数」は3352人です。
弁護士人口は,2048年に63715人とピークに達しますが,この頃から現行司法試験時代の弁護士も引退(想定)し始めるので,減少に向かいます。

もっとも,人口も減少し続けているので,「弁護士1人あたりの国民数」はさらに減少を続け,最終的には1500人を切って1496人となっています。

http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20170102/1483318571

昨年の合格発表についての弊ブログのエントリー

「司法試験、合格率横ばい22.95%35校は1割未満」:朝日新聞デジタル - タダスケの日記

http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20160908/1473316034

仙道的法科大学院(sl7)

「(法曹志願者は9割減ったけど)まだあわてるような時間じゃない」

           ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 時 .あ ま ヽ
            ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  間 .わ だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | じ て    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ゃ る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  な よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ い う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \  な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ

元ネタ

まだあわてるような時間じゃないとは (マダアワテルヨウナジカンジャナイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%BE%E3%81%A0%E3%81%82%E3%82%8F%E3%81%A6%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84

Leading Law School | LL7

LL7とは、法曹養成に大きな実績をあげている7つの先導的法科大学院(Leading Law School)によるコンソーシアムです。

7つの先導的法科⼤学院が連携し、あるべき法科⼤学院教育の実践例について、その実像と魅⼒を総合的・多⾯的に発信します。また、各法科⼤学院の現状を発信するにとどまらず、法科⼤学院制度が直⾯している多くの課題について、「プロセスとしての法曹養成制度」を中核的に担う⽴場から議論し、その成果も広く発信して、法曹養成教育の展望を示します。
http://ll7.jp/

参考記事の紹介

それより,現在の法曹志願者激減というマイナス実績を残した人は,どのような責任を取るのでしょうか。

法科大学院 破綻する制度 | データ・マックス NETIB-NEWS

現在、全国の法科大学院では、募集の停止や大学院自体の廃止が相次いでいる。鳴り物入りで始まった司法制度の改革は、そもそもの人材需給の見通し自体が誤っていたというお粗末な理由で崩壊しようとしている。この間、法科大学院からの司法試験合格を夢見ていた学生たちのジャッジを誤らせた責任は、誰がとるのだろうか
http://www.data-max.co.jp/290731_dm1771_2/

無制限のロースクール設立を推奨していた佐藤幸治氏

佐藤幸治先生が,ロースクールの乱立について「ワシは悪くない」とおっしゃっていたそうです。

そこで,佐藤幸治先生が共著で書かれた「司法制度改革」を検証のため再読してみました。

司法制度改革

司法制度改革

p220
編集部
具体的には,そのような法科大学院にふさわしい教育が行われることを確保するために,一定の基準が定められるということになるのでしょうか。

井上
(略)
しかし,法科大学院は,そのような教育機関としての外形的な基準を充たしていればよいというだけのものではありません。
新しい法曹養成制度の中核として,そこを修了することが新司法試験受験の前提となるわけですので,その目的に適った内容・質の教育が行われることや,学生の成績管理や修了認定が厳格に行われること,意見書で求められているような入学者選抜が行われることなど,その制度趣旨にふさわしい質が確保されていなければなりません。
ところが,設置基準で,それらの実質にまでわたって詳しく規定することは難しいですし,また,それらの点の多くは,むしろ実際に立ち上がり,動き出してから,チェックする必要があります。
それは,性質上,教育機関としての法科大学院の教育や運営についての第三者評価の問題に属するものといえます。

ここは井上先生の発言部分ですが,ロースクールの質は,設置のときにチェックするのは難しいので,設立してから事後的に第三者評価でチェックするべきだ,とのことです。

p222
編集部
設置基準のほうは,例えば建物の広さや教員の数などを決めることになるのですね。

佐藤
これは先ほど井上さんが言及されたことですが,設置基準は不当な参入規制にならないようできるだけ必要最小限の外形的なものにとどめ,具体的なカリキュラムや教育方法の内容,成績評価・修了認定のあり方等々,つまり法科大学院の質の保証面については,第三者評価(適格認定)のほうに委ねようというのが,基本的なスタンスです。

先の井上発言を受けての佐藤先生の発言です。
設置基準は必要最小限,すなわち設立時のハードルは下げて,質のチェックは第三者評価でやるとのことです。

p223
編集部
法科大学院の数を幾つにするかというようなことは,お考えになっているのですか。

佐藤
いえ,そういうことはありません。設置基準を満たせば自由に参入していただけるシステムを考えています。法科大学院の数を幾つにすべきかといったことは決して考えていないことは,誤解無きよう,はっきりと申し上げておきます。

井上
法科大学院の趣旨にふさわしい内容と質の教育が行われることを確保するために最低限の基準は決めますが,それさえ満たせば自由に設立できるということです

その上で,個々の法科大学院の創意と工夫によって,いろんな特色を出してもらいたい。うちはここに重点を置いて教育するんだ,他と違うこういう方法を取るんだ,といった形で,互いに競い合うことによって,全体としてレベルアップをしていってもらいたい,というのが基本的な発想ですから,法科大学院の趣旨をより良く実現しようとするものである限り,むしろ,自由に設立していただくことが望ましいと言えるでしょう

ロースクールの数をいくつにするか,という編集者の問いに対して,低いハードルである設置基準さえクリアすれば,無制限なので自由に参入してください,と強調しておられます。

井上先生も同意見で,自由な設立を推奨しています。

70校以上もロースクールが乱立したのは,大学に対する,このようなロースクール設立の推奨があったからこそなのでしょう。

ある種の権力を行使して現在のロースクール制度を作り,重大な結果を発生させているわけですから,腹を切ってお詫びをすべきでしょうせめて過去の過ちをごまかさずに受け止めて,真摯に反省すべきでしょう。

佐藤先生の著書「司法制度改革」を検討した弊ブログのエントリー

「法曹人口がどれくらいであるのが適切かは,本来,社会の需要やマーケットとの関係で決まる」,井上正仁,2002年 - タダスケの日記
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20130608/1370652323

ロースクールが無用の機関と化した経緯,「司法制度改革,佐藤幸治,竹下守夫,井上正仁」 - タダスケの日記
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20130609/1370744493

法科大学院撤退の波が止まらない

誰か Lawschool 廃止して Lawschool
経営が 経営が 苦しくなる(苦しくなる)

惑う 学生に 甘い(需給の)見通し
アホーみたい 撤退が 止まらない

元ネタ

YouTube

ロマンティックがとまらない。 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=q4q6_MPyKlw

歌詞

Romanticが止まらない C-C-B 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=35765

ニュース

法科大学院撤退の波が止まらず 青山学院大、立教大も募集停止 - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/13271691/

おまけ

はてな匿名ダイアリーに,現役の法科大学院3年生(既習者コース)を名乗る方の投稿がありましたので,参考まで。

法科大学院は崩壊大学院か
https://anond.hatelabo.jp/20170701015229

学院長の手記(青学、立教、桐蔭横浜...法科大学院の募集停止相次ぐ : J-CASTニュース)

学院長の手記

X月X日
出願者数や入学者の低下を初期症状に持ち,二次募集,三次募集と募集を不定期に繰り返し、
ついにはロースクール経営者としての理性を失う。
そうなると学生数の回復は絶望的で返還不要の奨学金の乱発すら通用しない。
当たり前だ。そのロースクールは弁護士の経済的価値の低下に伴い,市場的にはとうに死んでいるのだ。
恐ろしい病だ。ロースクール経営者は理性を失うと重度の薬物中毒のように有識者会議で既得権益の保持のために暴れ、
飢えた虎のように補助金を欲して給費制の予算さえ奪おうとして襲う。

X月X日
今日もまた廃校したローが運ばれてきた。まだ2ケタの入学者がいたようだが…。
わたしは幾日も睡眠を取っていない。
ローが恐ろしい廃校になるのをこれ以上見過ごす訳にはいかないからだ。
わたしは傍観者ではない。社会生活上の医師なのだ。
もしわたしが倒れても残した手記がきっと役に立つ。
この司法制度改革の失敗の核心がわたしの手記から見つかるはずだ。

X月X日
74校もの乱立したローの大半を廃校で失い、
法科大学院制度を維持することはすでに不可能だ。
もう遅い。力が足りなか た。
見たことも無い潜在的法曹需要という幻影が 原因あるとわかってから。
対処が後手になってしまっ た。
そろそれ辛い。 わたしのローの 経営も もも もたな る

元ネタ

かゆうまテンプレ集 - 【まと】飼育員の日記のガイドライン【め】 - アットウィキ

医院長の手記(BH3)

9月10日
皮膚の壊死やうっ血を初期症状に持ち意志混濁を定期的に起こし、
ついには人間としての理性を失う。
そうなると回復は絶望的で安楽死すら通用しない。
当たり前だ。その患者は医学的にはとうに死んでいるはずなのだ。
恐ろしい病だ。患者は理性を失うと重度の薬物中毒のように暴れ、
飢えた虎のように生肉を欲して襲う。

9月18日
今日もまた発病者が運ばれてきた。まだ症状は軽いようだが…。
わたしは幾日も睡眠を取っていない。
患者が恐ろしい怪物になるのをこれ以上見過ごす訳にはいかないからだ。
わたしは傍観者ではない。人を治す医者なのだ。
もしわたしが倒れても残したカルテがきっと役に立つ。
この病気の核心がわたしのカルテから見つかるはずだ。

9月26日
職員や医師の大半を発病した患者との戦いで失い、
この病院を維持することはすでに不可能だ。
もう遅い。力が足りなか た。
見たこと無きウィルスが 原因あるとわかってから。
対処が後手になってしまっ た。
そろそれ辛い。 わたしの 意識も もも もたな る

https://www16.atwiki.jp/kayu-uma/pages/4.html

青学、立教、桐蔭横浜...法科大学院の募集停止相次ぐ : J-CASTニュース
https://www.j-cast.com/2017/06/01299491.html

関連エントリー

ロースクール推進派の学者の日誌(元ネタ:かゆうま日記) - タダスケの日記
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20131110/1384085371

これまでに廃校したロースクール一覧

たまたま見つけましたので,参考まで。

法科大学院定員割れ問題 - Wikipedia

姫路獨協大学法科大学院 平成23年度から募集停止、平成25年3月31日付けで廃止
大宮法科大学院大学 平成25年度から募集停止(桐蔭横浜大学法科大学院と統合予定)
駿河台大学法科大学院 平成25年度から募集停止
明治学院大学法科大学院 平成25年度から募集停止
神戸学院大学法科大学院 平成25年度から募集停止
東北学院大学法科大学院 平成26年度から募集停止
大阪学院大学法科大学院 平成26年度から募集停止
島根大学法科大学院 平成27年度から募集停止
東海大学法科大学院 平成27年度から募集停止
大東文化大学法科大学院 平成27年度から募集停止
獨協大学法科大学院 平成27年度から募集停止
白鴎大学法科大学院 平成27年度から募集停止 
信州大学法科大学院 平成27年度から募集停止
関東学院大学法科大学院 平成27年度から募集停止
新潟大学法科大学院 平成27年度から募集停止
龍谷大学法科大学院 平成27年度から募集停止
久留米大学法科大学院 平成27年度から募集停止
鹿児島大学法科大学院 平成27年度から募集停止
香川大学愛媛大学(2大学連合)法科大学院 平成27年度から募集停止
広島修道大学法科大学院 平成27年度から募集停止
静岡大学法科大学院 平成28年度から募集停止
熊本大学法科大学院 平成28年度から募集停止
東洋大学法科大学院 平成28年度から募集停止
愛知学院大学法科大学院 平成28年度から募集停止
京都産業大学法科大学院 平成28年度から募集停止
山梨学院大学法科大学院 平成28年度から募集停止
神奈川大学法科大学院 平成28年度から募集停止
國學院大学法科大学院 平成28年度から募集停止
中京大学法科大学院 平成28年度から募集停止
成蹊大学法科大学院 平成29年度から募集停止
名城大学法科大学院 平成29年度から募集停止
北海学園大学法科大学院 平成30年度から募集停止
立教大学大学法科大学院 平成30年度から募集停止
桐蔭横浜大学法科大学院 平成30年度から募集停止
青山学院大学法科大学院 平成30年度から募集停止

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%AE%9A%E5%93%A1%E5%89%B2%E3%82%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C

法科大学院の入学者、過去最低1704人志願者10年連続減(日本経済新聞)

法科大学院の入学者、過去最低1704人 志願者10年連続減  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H9V_X10C17A5CR8000/

過去のネタの再掲です。

激減するロースクール入学者

法学者、経済学者、そして数学者、法科大学院教授がロースクール入学者の推移を表すグラフを眺めている。

彼らはロースクール入学者が一貫して減少し続けているのに気付いた。

法学者は「司法制度改革の理念に基づくロースクールに人が集まらないわけがない。データに間違いがあったのではないか」と言った。

経済学者は「需要がないのに弁護士数だけが激増し,弁護士の経済的価値が低下した結果,ロースクールの経済的,時間的コストがペイしないとして学生が敬遠しているのだろう」と言った。

数学者は「あと何年か経てば、ロースクールに入学する人は誰もいなくなるね」と呟いた。

それに対して,ある法科大学院教授は,ロースクールに行かずに予備試験を受けるのは,心の貧困によるとフェイスブックでつぶやき炎上した。

ロースクール的なジョーク - タダスケの日記
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20140826/1409045877

1コマの授業の予習に5〜8時間かかるロースクール

Yahoo!知恵袋のキャッシュで見かけました。

ロースクールの授業について。Yahoo!知恵袋
https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:Rj4A2PIdEdEJ:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13173341603+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

ロースクールの授業について。
旧帝ローに所属しているのですが、予習があまりにも膨大過ぎて、終わりません。
いや、終わってはいるんですが、心が折れそうです。
例えば、民法の物権分野だけでも、毎週1行問題30〜40個、判例5〜8個の読み込みがあり、予習に5〜8時間1コマだけでかかってます。
判例も原告側の動機が聞かれる事があり、100選等にない場合は1審から読む必要が出てきます。
今は、週に8個コマあり、予習で大体1週間で35〜40時間は取られています。
復習を考えると全く時間が足りません。
他のも概ね似たりよったりで、効率化を図っても、単純に量が多すぎて、限界があります。
恐らく、慣れても最低4時間はかかる量になると思います。
それでも予習で1週間で25〜30時間くらいはかかると思います。
これに加え、OB等の弁護士さんたちとの会合的なものや、上級生等の飲み会があり、時間が全く足りません。

予習をしっかりやると、講義が実質予習の答え合わせで受けてる意味が見出せません。
話してる内容も10分程度くらいしかあまり意味のあるものでなく、他は単に予習の内容を確認してるだけの状況です。

予習を踏まえた上での議論ならわかるのですが。。。
予習箇所も、基本書で細かく扱っていない箇所や定義が具体例等で済ませてる箇所が主です。
そうなると、通達等での確認をすることになり、それを一々探すのが果てしないです。

司法試験が難しいのは旧帝ローでも大した合格率でないのでわかりますが、そもそも合格率が低迷してる要因がこの膨大な予習のせいなんじゃないでしょうか?
前期の比較的忙しくない時期でこれなので、後期は1.3倍くらい忙しくなることが予想され、とてもこなしきれる気がしません。

合格者の話は大抵皆、洗脳されたかのように教員の質問に完璧に答えれるくらい準備することと言っています。
正直こんな無駄な予習をするよりは、予習を3分の1くらいに減らして、小テストを増やし、復習を主になるような形にして欲しいです。
予習のしんどさの原因はランダムであてられるため、どの質問があたるか事前に予測できず、講義参加者全員分の質問に対応しなければならないという所にあると思います。

慣れれば少しは時間短縮できる,というような記載があるので,時期的にも,今年4月に入学された学生さんでしょうか。
ロースクールの予習にかかる時間が膨大すぎる,とのことです。

そもそも,学部に上乗せする形でロースクールを設けたことにも見られるように,学者は,学生のリソース(時間的,金銭的)を無限かのように考えているような傾向があります。

言い換えると,学生に対しては,負荷をかければかけるだけ勉強になると,学者の先生は考えているようにも感じられます。

しかし,学生のリソース(時間,体力)は実際には有限なのですから,法律を習得するという目的に向けて,効率的にリソースを消費して頂きたいものです。

おそらく,学者の一部の先生は,学問を修めることと,効率性の追求は親しまないと考えていると思うのですが,弁護士も最終的には実社会に出て自らの事務所経営やクライアントの経済活動に関わるのですから,ローの学生でも,将来的には効率性の追求を無視し得ないのです(公務員=裁判官,検察官は別ですが……)。

現在,法曹志願者が激減しているのも,ロースクールの原則強制と弁護士激増政策により弁護士になることの費用対効果が悪くなったからであり,すなわち人生の効率性を追求する潜在的法曹志願者から見捨てれられたからです。
つまり,若き潜在的法曹志願者も,効率性追求という視点を強く持っているのです。

そのような中で,ロースクール教員だけが,法律を学習する上での効率性を無視してよいのでしょうか(反語表現)。

また,現在,たとえば予備試験と平等に競争するといったこともなく,ロースクール修了が原則強制されているのですから,その優遇措置に応えて,「強制してでも学生に受けさせるべきだ」と国民が考えるくらいの素晴らしい授業内容を研究するべきでしょう。

しかし,現実には,ロースクール強制,すなわち学生を2年間拘束できることにあぐらをかいて,予習の負荷が現実的でなかったり,学習の効率性を無視したり,趣味に走ったりしがちな授業が多いようにも思われます。

ロースクールの授業の具体的な内容がこのように学生が疑問に思うような内容なのですから,「プロセス教育だから」というような抽象的な理由で,ロースクール制度を肯定することはできないでしょう。