タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

司法制度改革を丸腰で行った法学者が許せない

法学者50代後半。旧司法試験をそろそろ替えねばと思っていたらしい。たまたまアメリカにロースクール制度が偶然あったので調べてみたとのこと。その中で「奇跡的に大学や文科省の利益とマッチした」ので速攻でロースクール制度に法曹養成制度を替えることに。

替えるロースクール制度は?「教員ポジションを増やせるから学部から独立させたロースクール制度。」比較検討なんてもちろんしない。

その日私は早く寝た。そして寝過ぎた。起きたら法学者は既に司法制度改革を行っていた。

「弁護士の需要予測とかしてるのか…?」不安がよぎる。

もちろんしていなかった。LINEで聞くと「推進派弁護士さんが『二割司法』と『社会生活上の医師』と言ってさえいればいいっていうから!」

供給過多による弁護士の経済的価値の低下も給費制の廃止もなにもかにも「経済的負担は弁護士と修習生が負担してくれる」という弁護士サイドへの丸投げ、そして弁護士は経済的に困ることがないという絶対的信頼。私は弁護士をそこまで絶対的に頼れないので羨ましいとすら思ってしまう。だって弁護士の多くは零細企業だし大企業より不十分な福利厚生に危機意識持ってるかもよ、とか思ってしまう。

弁護士さんに「法学者がスミマセン…」という感情が湧いてくる。こういう中高年困りますよね、本当に申し訳ない。

そしてそこまで弁護士の経済的価値を信頼できるのが羨ましい。昔は合格者とか500人くらいしかいなくてみんながみんな多額の広告費を使わなくても仕事にあぶれずにプロ意識持ってやってたってことの表れなのかなーとかまで飛躍して考えて、なぜか勝手に自分や今の世の中に失望する。

法学者帰宅。案の定、よくわからないまま「安心の貸与制導入」とか諸々盛り込んでいた。よくわからないまま盛り込んでいるのでせっかく導入した制度なのに数年で廃止に追い込まれて全然使えていない。ロースクールを学部から独立させたのに,法曹コースと称して学部に助けを求める。未修者教育は体よくマス教育に戻す(ロースクールは効率を重視してはいなけいから表立っては決して言わないが)。そして弁護士の需要予測はまったくしていなかったので弁護士の経済的価値の低下から弁護士増員政策にも失敗。それどころか,法曹志願者は9割も減少した。法曹への道から多くの有為な若者が失われたということに対して法学者の深刻さはゼロ。大いにため息をつく私に「合格率が7~8割に近づくのよ!いいじゃないのよ!」と法学者キレる。あーもうこれから絶対法テラス案件の受任したくねぇ。

今の時代、Youtubeでもなんでも、最近の弁護士の需給予測をいくらでもタダで調べられる環境があるのになぜ少しでも調べていなかったのか、という法学者への失望。司法制度改革を丸腰で行った法学者が許せない。

anond.hatelabo.jp

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