タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

ロースクールに花束を

旧司法試験制度は、他人を疑うことを知らず、誰にでも司法試験受験を認め,公平であろうとする、大きな受験者母数に,司法試験一次試験のみといった小さな制約を持った,おとなしい性格の制度だった。

しかし彼には子供の頃、受験生に機械的な丸暗記を強いたと学者に誤解され、見捨てられた過去があった。

ある日、大学教授から、ソクラテスメソッドを基軸にした,開発されたばかりの司法制度改革を受けるよう勧められる。彼は改革を受けることを承諾し、この改革の臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。

改革は断行され,法科大学院の志願者数は72,800人,志願倍率は13.0倍に達し、新司法試験制度は名実ともに法曹養成プロセスの本道となった。

学者は,法科大学院で学生に教育することを許され、論証の丸暗記ではない知識を与える喜び・難しい問題を考えさせる楽しみを満たしていく。

だがいっぽうで、改革が進むにつれ、これまで旧司法試験であれば法曹を目指してくれていた法曹志願者の多くに高い学費と長い拘束期間が嫌われ敬遠されていること、弁護士の質の低下が囁かれていることなど、知りたくもない事実の意味を理解するようになる。

一方で、法科大学院の経営能力は,まるで未発達な幼児のままのようだった。突然に急増を果たした学生数とのバランスが取れず、妥協を知らないまま正義感を振り回し、自尊心が高まり、「予備試験を受験するのは心の貧困」などと暴言を吐いて,知らず知らず他人を見下すようになっていく。
誰からの信用も失い、周囲の法曹志願者が遠ざかっていく中で、法科大学院は改革前には抱いたことも無い孤独感を抱くのだった。


そんなある日、適性試験出願者数が激減するという異変が起こる。
法科大学院は,この異変について調査を始め、改革に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。

改革は急速に弁護士数を急増させるものの、市場の発達がそれに追いつかず,弁護士の需要と供給のバランスが損なわれること、そしてピークに達した法科大学院数は、弁護士職の不人気から学生の激減が起こり,やがて経営難から廃校により失われ,減少する性質のものであることが明らかとなった。

彼は失われ行く法科大学院の中で、法科大学院制度廃止を阻止する手段を模索する。
だが、もはや学生の激減を止めることはできず、ついに法科大学院は,少数の定評あるロースクールをかろうじて維持するいびつな制度と化し、既得権益を考えると旧司法試験にすら戻れないと自覚した段階で,予備試験に実質的な法曹養成の本道を自ら明け渡す。

彼は経過報告日誌の最後に、学生数を回復できないまま力が尽きてしまった地方ロースクールの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージ(「ついしん」)として、「うらにわの広島修道大法科大学院のおはかに花束をそなえてやてください」と締め括る。


元データ

法科大学院特別委員会(第61回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/1347725.htm

志願者数・入学者数等の推移(平成16年度〜平成26年度)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/05/15/1347725_1.pdf


元ネタ

あらすじ
精神遅滞の青年チャーリイは、他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持ったおとなしい性格の青年だった。しかし彼には子供の頃、正常な知能の妹に性的な乱暴を働いたと家族に誤解され、母親に見捨てられた過去があった。
彼は引き取ってくれた叔父のパン屋での仕事のかたわら、精神遅滞者専門の学習クラスに通っていた。ある日、そのクラスの監督者である大学教授から、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。先に動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリイと難関の迷路実験で対決し、彼に勝ってしまう。彼は手術を受けることを承諾し、この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。
手術は成功し、チャーリイのIQは68から徐々に上昇。ついには185に達し、彼は超知能を持つ天才となった。チャーリイは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。だがいっぽうで、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたこと、母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実の意味を理解するようになる。
一方で、チャーリイの感情は未発達な幼児のままだった。突然に急成長を果たした天才的な知能とのバランスが取れず、妥協を知らないまま正義感を振り回し、自尊心が高まり、知らず知らず他人を見下すようになっていく。誰もが笑いを失い、周囲の人間が遠ざかっていく中で、チャーリイは手術前には抱いたことも無い孤独感を抱くのだった。また、忘れていた記憶の未整理な奔流がチャーリイを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け、彼が世話をしていたアルジャーノンに異変が起こる。チャーリイは自身でアルジャーノンの異変について調査を始め、手術に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。手術は一時的に知能を発達させるものの、性格の発達がそれに追いつかず社会性が損なわれること、そしてピークに達した知能は、やがて失われ元よりも下降する性質のものであることが明らかとなった。彼は失われ行く知能の中で、退行を引き止める手段を模索する。だが、もはや知能の退行を止めることはできず、ついにチャーリイは元の幼児並以下の知能を持った知的障害者に戻り、パン屋にすら戻れないと自覚した段階で障害者の収容施設に自ら赴く。
彼は経過報告日誌の最後に、正気を失ったまま寿命が尽きてしまったアルジャーノンの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージ(「ついしん」)として、「うらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください」と締め括る。

wiki
アルジャーノンに花束を
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%81%AB%E8%8A%B1%E6%9D%9F%E3%82%92

広島修道大、法科大学院の学生募集を停止…志願者減に歯止め効かず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140529-00000007-resemom-life

ホッテントリメーカーで作成した,他のタイトル候補

(°Д°) . 。o O(今日は法科大学院について書く ホッテントリになりそうなタイトルは・・・
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ホッテントリメーカー
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