タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

予備試験制度に関するアンケート(2013年日弁連司法試験シンポジウム)

第7回 法曹養成制度改革顧問会議(平成26年3月27日開催)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai7/index.html

【資料5−5】 司法試験予備試験に関する学生からの意見のまとめ(概要)(文部科学省
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai7/siryou5-5.pdf

こちらのまとめですが,確認のため,元データを見てみました。

第6回 法曹養成制度改革顧問会議(平成26年2月25日開催)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai6/index.html

資料19−2 予備試験制度に関するアンケート(2013年日弁連司法試験シンポジウム)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai6/siryou19-2.pdf
アンケートの対象者は以下です。

対象=法科大学院2年次生(既修1年生・未修2年生)

既修1年生は,ls入学後半年の時点のようです。

問17 法科大学院に進学した理由・その他
P83
予備試験というルートも考えたが,門が狭く,合格できる自信がなかったため。
予備試験への合格はなかなか困難であるため。
予備試験を受験しても合格の見込みがなかったため。

予備試験開始前だったから
進学時に予備試験制度がなかったため
入学当時予備試験制度が存在せず,また早期に法曹になりたかったため

ネーミングすると,
上のグループが,「予備試験に合格できる自信がない」派,
下のグループが,「予備試験がなかった」派,
です。

「予備試験に合格できる自信がない」派については,予備試験の合格率が上がっていけば,lsから予備試験へ流れやすくなるでしょう。

「予備試験がなかった」派については,予備試験合格の自信はある程度あるようなニュアンスも感じますので,「自信がない」派よりもさらに一層予備試験へ流れやすくなる人たちと思われます。

問18 法曹になった場合に生かせそうな法科大学院での経験・その他
P84
ロースクール内では嫌がらせで書き込みのあるテキスト,教科書や手書きの論証メモが盗まれる。こういう人としてどうかと思われる行為をする人も複数いることを知った。世の中甘くないなと思った。窃盗の被害者の気持ちがわかった。

学費のためにした借金だけが残ります。

P85
基本的にローの授業は役に立たない。起案もなく,多くの資料を読む時間や出席の時間的・心理的負担により試験勉強が妨げられ,むしろ学力が下がってしまう。

P86
僕が入学したときの予備試験は非常に狭き門だったのでロースクール進学を決めた。今のように合格者が多ければロースクールには行かないと思う。

P87
以前新聞記事で合格者の一人が受験資格を経済的にLSに進学することが困難な者に限るべきだといっているのを見ましたが,とんでもないと思います。LSに通っている学生の大多数が奨学金制度を利用しているし,予備試験に合格してLSの学費を浮かせられることにこしたことはありません。

数が多いので,気になったものをいくつかピックアップしてみました。

なお,ローに好意的な意見も少なくありません。

全体を通して思うのは,制度設計に失敗して,制度がコロコロ変わると,時期によって有利不利がでたり,予測を裏切られたりと,法律の勉強以外のところで受験生が悩まされるということです。

こうした人たちのことです。

僕が入学したときの予備試験は非常に狭き門だったのでロースクール進学を決めた。今のように合格者が多ければロースクールには行かないと思う。

予備試験の合格者数が今後増えるのかそうでないのか,また年齢制限などが課されるのか課されないのか,そんなことを読んで,法曹志願者は数年にわたる勉強を始めるかどうかを決める,そういう時代なのだと思います。

違う言い方をすると,こうした制度のぶれについての「読み」に長けた者が,そうでない者に比べて,競争において有利になるでしょう。

旧司法試験について,暗記だ,受験テクニックだと批判されていましたが,現在は,さらに勉強からかけ離れたところでの「読み」によって,競争の有利不利が影響を受けており,残念な状況が生まれていると思います。