法科大学院崩壊ゲームとは
アメリカ発祥のパーティーボードゲーム「lawschool collapse」と、その亜種の総称です。
日本では「弁護士失墜の大元凶、ロースクール解体勧告」というゲーム名でも普及しています。
ゲームの概要
ある国の司法制度改革の中に、法科大学院崩壊の原因が混ざっています。
この法科大学院崩壊の原因は,毎年,2〜3校ずつ,法科大学院を崩壊させていきます。
法科大学院推進派は、法科大学院崩壊の原因と疑う要素を,一検討会議ごとに一つ指摘して,改善していきます。
法科大学院崩壊の原因を正しく指摘して改善し,法科大学院の崩壊を食い止められれば,推進派の勝ち,法科大学院が崩壊し尽くしたら反対派の勝ちです。
役職(能力・役割)
推進派グループ
- 学者
- 10年前に決められた司法制度改革の理念を金科玉条として,ローのポストを死守しようとします。問題の現実的な検討をすることはありません。
- 推進派弁護士
- 実現の見込みもない法曹一元化の夢を見て,弁護士業界を破壊するロースクール制度に賛成する弁護士です。問題の現実的な検討をするがない点は,学者と同様です。
- 大マスコミ
- 盲目的に司法制度改革に賛成する記事を量産して国民をミスリードします。もっとも,近時は司法制度改革に疑問を呈する記事も見受けられます。
反対派グループ
- 法曹志願者
- 弁護士になるためには原則としてローを強制されることになり,懲役刑,罰金刑を課されるようになったと揶揄されていますが,1番の被害者です。なお,ローを逃れ,予備試験に流れるのが近時のトレンドです。
- 反対派弁護士
- 実務における弁護士の需要の実態に詳しい一方で,「既得権益を守ろうとしている」という,いわれのない誹謗を受けやすいです。
- 霊能者(ブロガー)
- そのあらたかな霊感により,法科大学院崩壊の原因を正確に考察しているブロガーです。その優れた考察力に反して,現実に司法制度改革を阻止する政治力には乏しいのが一般です。
勝敗のつき方
法科大学院崩壊ゲームは、チーム戦です
推進派チームの勝利
推進派チームが,法科大学院崩壊の原因を正しく指摘して改善できれば,法科大学院制度が存続し,ローのポストも守られて,推進派チームの勝利となります。
もっとも,そのときに日本の司法制度,弁護士業界が健全な形で存続しているかは,別の問題です。
また,法曹養成にとって,法科大学院制度が根本的に非効率,不経済であることが崩壊の原因だとすると,法科大学院制度の廃止が問題の有効な解決策ということになり,自家撞着に陥ります。
反対派チームの勝利
法科大学院がすべて崩壊すれば,反対派チームの勝利となります。
ゲームのポイント
ある人の言動が、「論理的に正しい主張をしているのか」と「その人物が政治的影響力を有しているか」が,全く相反している点が、このゲームのポイントです。
推進派は,いかに荒唐無稽な主張をしようとも,その政治力で司法制度改革(改悪?)を引き続き推進し,一方,反対派は,いかに説得的な主張をしようとも,パブコメでさえガス抜きとして利用されるのが関の山です。
「無理が通れば,道理が引っ込む」ということわざが,正に体現されます。
反対派が,国民を正しい方にリードしようとすると「誘導している」と疑われます。
明確に説明しようとすると「自分が弁護士だからそう言うのだろう」と疑われます。
いろんなケースを説明すると「既存の弁護士側の視点にたちすぎ」と疑われます。
国民が,推進派の間違った理屈に説得されるのを阻止しようとすると「弁護士を守ろうとするこいつはあやしい」と疑われます。
ともかく、どんな行動をしようとも、すべての場合で,反対派は言いがかりをつけられるゲームなのです。
おわりに
ここまで法科大学院崩壊ゲームのルール、勝利方法について紹介してきました。
まずは一度やってみないことには始まりません。
「そんな不愉快なゲームはやりたくない」などと言わずに,ぜひ友達を誘ってプレイしてみてくださいね!