タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

「バッジが泣く…弁護士不祥事相次ぐ 過当競争影響」産経ニュース2013.2.3

弁護士の不祥事のニュースです。

産経ニュース
成年後見人として財産を管理していた男性の口座から現金1200万円を着服したとして、東京地検特捜部は1月、業務上横領容疑で弁護士の関康郎容疑者(52)=東京弁護士会=を逮捕。関係者によると、関容疑者は調べに対し苦しい台所事情を吐露し、遊興費にも使っていたことを示唆しているという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130203/trl13020308220000-n1.htm

産経ニュース
日弁連事務次長の中西一裕弁護士は「過去にも金銭の不祥事はあったが、最近は額や悪質性が増している。こうした事態が続けば弁護士全体の信用が失墜する」とした上で、「(再発防止策の策定を)うみを出し切るチャンスにしたい。隠れた不祥事も掘り起こして処分していく」と話す。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130203/trl13020308220000-n2.htm

もちろん競争が激しくて,経営が苦しいからといって,不祥事をしてもいいことにはなりませんが,全体の傾向としては,不祥事が増える方向に行くでしょうね。

弁護士激増政策をとるのなら,こうした事態もコミで考えるべきでしょう。

法務省
司法制度改革について
規制緩和などの改革により,「事前規制型」から「事後監視・救済型」に移行するなど,社会の様々な変化に伴って,司法の役割は,より一層重要なものになると考えられます。
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa18.html

事前の規制を緩和して,事後規制を強化するのが,司法制度改革が目指した社会です。

弁護士をガンガン増やして過当競争となれば,その副作用として不祥事が起こりやすい土壌ができますが,それは事後の摘発で対処すればいいでしょう。
それより,合格者数を極端に増やすという,事前規制を緩和する政策を選んだのです。

これからは不祥事が増えて「弁護士全体の信用が失墜する」方向に行くでしょうが,中西一裕弁護士のこの発言については,何を今さら,という感じです。
もちろん,強力な制裁を設けて,その威嚇で不祥事をしないように弁護士を牽制するなどの工夫をするのは良いと思います。
ですが,もし,何もしなくても10年前,20年前と同じ程度の弁護士全体のモラルが維持されると考えていたとしたら,あまりに脳天気と言わざるを得ません。