タダスケの日記

ある弁護士の司法制度改革観察記録

ロースクールの中

予備試験の白状

 ロースクールを殺したのはわたしです。しかし法曹志願者は殺しはしません。では法曹志願者の9割はどこへ行ったのか? それはわたしにもわからないのです。まあ、お待ちなさい。いくら心の貧困を責めても、去ってしまった者は戻りますまい。その上わたしもこうなれば、卑怯な隠し立てはしないつもりです。

 わたしは昨日の午少し過ぎ、法曹養成の現場に出会いました。その時風の吹いた拍子に、図書室のカーテンが上ったものですから、ちらりと法曹志願者の顔が見えたのです。ちらりと、――見えたと思う瞬間には、もう見えなくなったのですが、一つにはそのためもあったのでしょう、わたしにはあの若者たちの顔が、2年間の懲役刑と罰金刑を課された囚人のように見えたのです。わたしはその咄嗟の間に、たといロースクール制度は殺しても、法曹志願者を解放しようと決心しました。

 何、ロースクールを殺すなぞは、あなた方の思っているように、大した事ではありません。どうせ法曹志願者が集まらなければ、必ず、経営難からロースクールは廃校していくのです。ただわたしは魔法の杖を一振りするかのように殺すのですが、あなた方は魔法の杖は使わない、ただ権力で殺す、法改正で殺す、どうかすると「2割司法」「ペーパー試験の弊害があった」などと根拠のない言葉だけで旧司法試験を殺したでしょう。なるほど血は流れない、――しかしそれでも殺したのです。罪の深さを考えて見れば、あなた方が悪いか、わたしが悪いか、どちらが悪いかわかりません。(皮肉なる微笑)

 しかしロースクールを殺さずとも、法曹志願者を解放する事が出来れば、別に不足はない訳です。いや、その時の心もちでは、出来るだけロースクールを殺さずに、司法試験受験資格の授与権限だけを奪おうと決心したのです。が、あの山の急斜面を転がり落ちるような法曹志願者の激減では、とてもそんな事は出来ません。

 しかしロースクールを殺すにしても、卑怯な殺し方はしたくありません。わたしはロースクールの縄を解いた上、正々堂々と制度間競争をしろと云いました。ロースクールは血相を変えたまま、太い太刀を引き抜きました。と思うと口も利かずに、2011年から毎年毎年,憤然とわたしへ飛びかかりました。――その結果がどうなったかは、申し上げるまでもありますまい。わたしの司法試験合格率は現在まで,毎年断然トップ(ダントツ)であり、ただでさえ入学者の減少に悩むロースクールの経営に追い打ちをかけました。毎年毎年、――どうかそれを忘れずに下さい。わたしは今でもこの事だけは、感心だと思っているのです。わたしに毎年打ち負かされてなお性懲りもなく延命しようと弥縫策を用い続けたのは、天下にあの制度一人だけですから。(快活なる微笑)

 わたしはロースクールが倒れると同時に、血に染まった刀を下げたなり、法曹志願者の方を振り返りました。すると、――どうです、あの若者たちの9割はどこにもいないではありませんか? わたしは若者たちがどちらへ逃げたか、学校中を探して見ました。が、教室にも図書室にも、それらしい跡も残っていません。また耳を澄ませて見ても、聞えるのはただロースクールの喉に、断末魔の音がするだけです。

清水寺に来れる法曹志願者の懺悔

 ――その紺の水干を着た予備試験は、わたしを少ない経済的,時間的負担で籠絡してしまうと、合格者を増やさなければ学生が減り経営が成り立たず,かといって合格者を増やせば弁護士がインフレ化して弁護士資格の費用対効果が悪化してやはり学生が減るという,自縄自縛に陥ったロースクールを眺めながら、嘲るように笑いました。ロースクールはどんなに無念だったでしょう。が、いくら身悶えをして弥縫策を繰り出しても、法科大学院制度中にかかった自縄自縛は、一層ひしひしと食い入るだけです。わたしは思わずロースクールの正門へ、転ぶように走り寄り入学しました。いえ、入学しようとしたのです。しかし若くて優秀なわたしは,気がつくと予備試験の願書を提出していました。さらに保険としてロースクールにも出願し,最悪,お金で司法試験受験資格を買おうとしました。ちょうどその途端です。わたしはロースクールの眼の中に、何とも云いようのない輝きが、宿っているのを覚りました。何とも云いようのない、――わたしはあの眼を思い出すと、今でも身震いが出ずにはいられません。口さえ一言も利けないロースクールは、その刹那の眼の中に、一切の心を伝えたのです。しかしそこに閃いていたのは、怒りでもなければ悲しみでもない、――ただわたしを,手前勝手に「自分だけはできる」と勘違いした心の貧困な人間と蔑んだ、冷たい光だったではありませんか? わたしは、その眼の色に打たれたように、我知らず「サン・ゼン・ニン!」と叫んだぎり、とうとう気を失ってしまいました。

巫女の口を借りたる死霊の物語

 ――予備試験は法曹志願者を籠絡するため、そこへ腰を下したまま、いろいろ法曹志願者を説得し始めた。おれは勿論口は利けない。体も杉の根に縛られている。が、おれはその間に、何度も法曹志願者へ目くばせをした。予備試験の云う事を真に受けるな、何を云っても嘘と思え、予備試験は経済的に法科大学院へ進学できない人のための例外的なルートなのだ,決して若くて優秀な人のための抜け道ではない――おれはそんな意味を伝えたいと思った。しかし法曹志願者は悄然と図書室の自席に坐ったなり、じっと膝へ目をやっている。それがどうも予備試験の言葉に、聞き入っているように見えるではないか? おれは予備試験の経済的負担の少なさに嫉妬し身悶えをした。が、予備試験はそれからそれへと、巧妙に話を進めている。経済性・弁護士になるまでの所要期間・就職対策,俺には隙がないと思うよ,ロースクールには負けないよ、こうだ,高度な法曹養成は修習を2年に戻して行えばいい――予備試験はとうとう大胆にも、そう云う話さえ持ち出した。  予備試験にこう云われると、法曹志願者はうっとりと顔をもたげた。おれはまだあの時ほど、経済的合理性に裏打ちされた法曹志願者を見た事がない。しかしその法曹志願者は、現在縛られたおれを前に、何と予備試験に返事をしたか? おれは中有に迷っていても、法曹志願者の返事を思い出すごとに、嗔恚に燃えなかったためしはない。法曹志願者は確かにこう云った、――「では出願します。ロースクールは予備試験に合格し次第退学します。」(長き沈黙)  法曹志願者の罪はそれだけではない。それだけならばこの闇の中に、いまほどおれも苦しみはしまい。しかし法曹志願者は夢のように、予備試験に出願しようとすると、たちまち顔色を失ったなり、杉の根のおれを指さした。「ロースクールを殺して下さい。わたしはあのロースクールが生きていては、弁護士の経済的価値が下落し,弁護士になっても生活できずに成仏します。」――法曹志願者は気が狂ったように、何度もこう叫び立てた。「ロースクールを殺して下さい。」――この言葉は嵐のように、今でも遠い闇の底へ、まっ逆様におれを吹き落そうとする。一度でもこのくらい憎むべき言葉が、人間の口を出た事があろうか? 一度でもこのくらい呪わしい言葉が、人間の耳に触れた事があろうか? 一度でもこのくらい、――(突然|ほとばしるごとき嘲笑)その言葉を聞いた時は、予備試験さえ色を失ってしまった。「ロースクールを殺して下さい。」――法曹志願者はそう叫びながら、予備試験の腕に縋っている。予備試験はじっと法曹志願者を見たまま、殺すとも殺さぬとも返事をしない。――と思うと,予備試験は,「予備試験組の弁護士といえども,もはや弁護士のインフレ化による収入減は避けられない。経済的安定性を望むなら,会社員か公務員になった方がいいよ」と言った。法曹志願者は、自席の椅子に卒倒して倒れた、(再び迸るごとき嘲笑)予備試験は静かに両腕を組むと、おれの姿へ眼をやった。「司法試験受験資格授与権限はどうするつもりだ? 手放して法曹志願者ひいては日本の司法制度を守るか、それともあくまで原則として独占して崩壊しかけた法科大学院制度のあと数年の延命をはかるか? 返事はただ頷けば好い。手放すか?」――おれはこの言葉だけでも、予備試験の私心のなさから,その罪は赦してやりたい。(再び、長き沈黙)  法曹志願者はおれがためらう内に、「司法試験合格に莫大なコストとリスクをかけて年収300万円なんて!」と叫ぶが早いか、たちまち就職活動のため走り出した。おれはただ幻のように、そう云う景色を眺めていた。  「今年もおれが司法試験合格率のトップだ。」――おれは予備試験が藪の外へ、姿を隠してしまう時に、こう呟いたのを覚えている。その跡はどこも静かだった。いや、まだ誰かの泣く声がする。おれは縄を解きながら、じっと耳を澄ませて見た。が、その声も気がついて見れば、おれ自身の泣いている声だったではないか? (三度《みたび》、長き沈黙)  おれはやっと杉の根から、疲れ果てた体を起した。おれの前には法曹志願者が落した、ジェットストリーム0.5ミリが一つ光っている。おれはそれを手にとると、一突きにおれの胸へ刺して廃校した。何かなまぐさい塊がおれの口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が冷たくなると、一層あたりがしんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この山陰の藪の空には、小鳥一羽|囀りに来ない。ただ杉や竹のうらに、寂しい日影が漂っている。日影が、――それも次第に薄れて来る。――もう杉や竹も見えない。おれはそこに倒れたまま、深い静かさに包まれている。  その時誰か忍び足に、おれの側へ来たものがある。学部だった。おれはそちらを見ようとした。が、おれのまわりには、いつか薄闇が立ちこめている。――学部は見えない手に、そっと胸のジェットストリーム0.5ミリを抜いて,法曹コースを設立すると,おれの延命治療を始めた。しかし,同時におれの口の中には、もう一度血潮があふれて来る。おれはそれぎり永久に、中有の闇へ沈んでしまった。……… (令和二年七月)

元ネタなど

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ロースクール宣言

お前をうちに入学させる前に 言っておきたいことがある
かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ
予備校に 行ってはいけない
予備試験に 逃げてもいけない
なるべく長く勉強しろ いつも図書室にいろ
できる範囲で かまわないから
忘れてくれるな 合格者も出せない学校に
経営を守れる はずなどないってことを
お前には勉強しか する時間はないから
それ以外は 口出しせず 黙って俺についてこい

司法試験と 学校の成績と どちらも同じだ 大切にしろ
期末試験 課題レポート かしこくこなせ
たやすいはずだ 授業を聞けばいい
ローの陰口 言うな聞くな
それから(予備試験組に)つまらぬシットはするな
俺は司法試験対策はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな
ま,ちょっとだけならいいだろ
合格実績は 二人で作り上げるもので
どちらかが苦労して
つくろうものではないはず
お前は俺の所へ 新卒カードを捨てて来るのだから
帰る場所はないと思え
これから俺がお前の母校

弁護士になって 依頼者をとれなくても
俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く成仏してはいけない
何もいらない 出身校を聞かれたときは
涙のしずく ふたつ以上こぼせ
お前のお陰で いい教員人生だったと
俺が言うから 必ず言うから
忘れてくれるな 俺が養成した法曹は
養成した法曹は 生涯お前ひとり
忘れてくれるな 俺が養成した法曹は
養成した法曹は 生涯お前ただひとり

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歌詞
関白宣言 さだまさし 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

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国民が本当に必要だった法曹養成制度

顧客が説明した要件

ペーパー試験の弊害を是正しつつ,合格者平均年齢を引き下げ,弁護士を大増員するという,ちょっと期待過剰(?)な法曹養成制度の製造依頼。この時点ですでに完成型のピントが合っていない。

プロジェクトリーダーの理解(ロースクールの学部からの独立)

弁護士を増員させる法曹養成が欲しいという顧客の要求はなんとか理解できた。そして顧客の提案にある非現実的な部分は専門家として排除したつもりだが、その結果、学部から独立した法曹養成制度として,学者ポストの激増をも狙ったリーダーがたどり着いた解決案。

アナリストの設計(予備試験の導入)

プロジェクトリーダーの構想のままでは法曹養成制度が一部の裕福な層しか取り込めず動かないことに気づいたので,予備試験を導入してなんとか公平性を維持できるように改良(?)されているが、予備試験組の司法試験合格率をロースクール卒と同程度にすると,法曹志願者が一気に予備試験に殺到し,法科大学院制度がすぐに崩壊しそうである。

プログラマのコード(ソクラテスメソッド)

学部と変わらない座学をロースクールで実施している状態。学部に屋上屋を架す形となり,第三者の目にはかなり異様な光景に映るが、「法曹を養成しろ」としか説明されなかった元学部の学者教員が形だけ講義を行ったもの。

営業の表現、約束(合格者3000人を目指す)

合格者2000人ですら合格者の質を考慮するとギリギリの増員であるのに,さらに無駄に大風呂敷を広げた大増員の掛け声。第三者の目にはかなり異様な光景に映るが売り込みに熱心な法科大学院制度推進者は気にしない。まさに絵に描いた餅である。

プロジェクトの書類

「合格率」7割~8割が,「累積合格率」7割~8割にいつの間にかすり替わる。その上「数字がひとり歩きした」などまるで他人のせいにする。制度発足時の法科大学院像が影も形もない状態。

実際の運用

法曹志願者が激減し,法科大学院も次々と潰れていった結果,LL7だけ残せばいいと開き直っている。とりあえず、LL7があれば,1500人の合格者を輩出できる。辛うじて顧客の要望を叶えている状態。

顧客への請求金額(国民のコスト)

ジェットコースターらしき遊具。最大1500人の合格者を出した旧司法試験を廃止した上で,失敗に失敗を繰り返した結果,青息吐息で1500人の合格者を輩出しているというだけなのに、ジェットコースター建造費用レベルの法外な税金を投入しようということか。

得られたサポート

学部を取り込み「法曹コース」なるもの設け,共通到達度確認試験というペーパー試験を取り入れ,給費制を廃止してから給付制へと一部譲歩し,法科大学院修了前の司法試験受験を許容するといったように,法科大学院制度の理念は根本から切り捨てられてしまった状態。「実際の運用」にあたってロースクール関係者からの「当初の形でロースクールを経営するのでは学生が集まらず余りにも経営が辛いので、とりあえずは学生を維持して経営的に楽になりたい」という要望に、有識者会議と国が場当たり的に対処した結果か。

国民が本当に必要だったもの

ロースクール修了が,司法試験受験資格から切り離された法曹養成制度。ロースクールを希望する者は任意に進学して群れて戯れることができるという本来の法曹養成制度の理念を十分に満たす機能を持った制度。

元ネタ

dic.nicovideo.jp

参考サイト

最近見かけたサイト。参考まで。

ameblo.jp

ロースクールクエスト3 ~そして面接へ~

年齢:
受験回数:
予備試験受験回数:
君は法学部に入学した大学1年生だ。
法曹コースに入る
入らない
法曹コースに入った君は・・・
勉強に専念する
学生生活を楽しむ
君は勉強に専念しようとした。
<克己心>50
次へ進む
 
「やっぱり学生生活は楽しまなくちゃね」
君は学生生活を心から楽しんだ。
次へ進む
 
君は勉学に励むことにした。
次へ進む
大学4年生となり,君は進路を考え始めた。
ロースクールへ進学する
予備試験を受験する
他の職業を選ぶ
大学3年生となり,君は進路を考え始めた。
ロースクールへ進学する
予備試験を受験する
他の職業を選ぶ
数千万円の資格取得コストをかけて年収300万円の資格など取らない方がマシだ。
君は,公務員か会社員を目指すことにした。
TRUE END リアリスト
ロースクールはオワコン」「若者は法科大学院へ行くな」という時代になったなどと,周囲からの猛反対にあった。
<克己心>80
次へ進む
司法試験受験資格まで得た君だが,弁護士の経済的価値の低下に嫌気が差す。
君は,公務員か会社員を目指すことにした。
TRUE END リアリスト
初志を貫徹できなかったが,君は,これも人生と思うようにした。
 
ロースクールは,既修コースと未修コースに分かれている。
既修コースに進む。
未修コースに進む。
 
君は周囲の反対に抗しきれなかった。
予備試験を受験する
他の職業を選ぶ
 
2年の月日と2年分の学費が消えていった。
次に進む
 
3年の月日と3年分の学費が消えていった。
次に進む
 
ロースクールはあまりにリスキーだが,法曹には興味があった君は,予備試験を目指すことにした。
次に進む。
 
君は予備試験を受験した。
<合格率>3
次に進む。
 
君は予備試験に合格した!
次に進む。
 
君は予備試験に落ちた・・・
予備試験を再受験する。
ロースクールに進学する。
他の職業を選ぶ。
 
君は司法試験受験資格を取得した。
司法試験を受験する。
他の職業を選ぶ。
 
君は司法試験を受験した。
<合格率>30
次に進む。
 
君は司法試験に合格した!
修習に行く。
他の職業を選ぶ。
 
君は司法試験に落ちた・・・
司法試験を再受験する。
他の職業を選ぶ。
 
しかし,受験回数制限にひっかかった。。。
ロースクールに再入学する。
予備試験を受験する
他の職業を選ぶ。
 
君は司法修習を修了した。
2回試験に合格できるか?
<合格率>98
次に進む。
 
君は2回試験に合格した。
次に進む。
 
君は2回試験に落ちた・・・
次に進む。
 
君は就職できるか?
<就職率>70
次に進む。
 
君は,翌年再受験した。
2回試験に合格できるか?
<合格率>98
次に進む。
 
君は,就職活動を開始した。
弁護士を目指す。
会社員を目指す。
 
君は,うまく法律事務所に採用されるだろうか?
<就職率>70
就職活動する。
 
おめでとう!
君は就職活動に成功し,弁護士になった!
GOOD END 新人弁護士
 
就職活動がうまくいかなかった君は,即独した。
「世の中の人々のお役に立つ仕事をしている限り、世の中の人々の方が自分達を飢えさせることをしないだろう」
BAD END 即独
 
君は,企業内で安定した収入を得ながら法務に携わることにした。
HAPPY END インハウス

エンディングの種類

  • TRUE END リアリスト
  • HAPPY END 新人弁護士
  • HAPPY END インハウス
  • BAD END 人間万事塞翁が馬
  • BAD END 即独

あとがき

ゲームブック風に司法試験受験生の受験生活を体験するゲームです。

再挑戦するときは,ブラウザをリロードしてください。

「<克己心>50」などとあるのは,ダイスロールです。0~100の乱数が発生し,この乱数が,その数値以下であれば成功,超えれば失敗です。この場合,乱数が50以下であれば成功です。

cssで,表示,非表示を切り替えることで,ボタンで遷移したように見せています。

htmlタグ,「遷移」先との関連を,すべて手入力しているので,大変面倒くさかったです。

うまく遷移していない場所がありましたら,教えていただけると幸いです。

JavaScriptで値を保持できるので,かなり自由度が高いです。

逸失利益」「積極損害(学費・生活費)」のステータスを作るアイデアもありましたが,あまりに面倒なため断念しました。

2016年のロースクールエストⅠと比べると,五振はなかなかしないようになっています。

あくまでネタですので,即独をバッドエンドにしているなど,生暖かく見守って頂けると幸いです。

 

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ch.nicovideo.jp

ミルクボーイメソッドで語るロースクール

駒場:うちのおかんがね,好きな法曹養成制度があるらしいんやけど,
   その名前を忘れたらしいねん

内海:ほんだら俺がね,おかんの好きな法曹養成制度,一緒に考えてあげるから,どんな特徴言うてみてよ。

駒場:司法試験合格者3000人はまだ手始め,3000人にとどまる趣旨ではないというかけ声で始められたんや。

内海:ロースクールやないかい。増大する法曹需要に答えようと始まったんや。

駒場:俺もロースクールやと思てんけどな,おかんが言うには,合格者が1500人ギリギリでもう死にかけっていうねんな。

内海:ほなロースクールとちゃうがな。3000人すら手始めなのに,合格者がそれより減るわけないやろ。
   もうちょっと詳しく教えてくれる?

駒場:択一7科目,論文8科目って,なんであんなに手広く科目をカバーできるのかわからんらしい。

内海:ロースクールやないかい。プロセスによる養成で幅広い法律を身につけられるんや

駒場:俺もロースクールやと思てんけどな,おかんが言うには,択一3科目になったっていうてた。

内海:ほなロースクールとちゃうがな。択一3科目やと弊害あるっちゅうことで廃止された旧司法試験と同じやがな。ロースクールとちゃう。
   もうちょっとなんか言ってなかった?

駒場:ペーパー試験合格の一発屋を社会が望んでいるわけがないでしょうっていうてた。

内海:ロースクールやがな。
   プロセス養成は,人間性豊かな法曹を育成するんや。ロースクールやそんなもん。

駒場:けどな,共通到達度確認試験っちゅうペーパー試験を導入して,授業の定着度を確認するんやって。

内海:ほなロースクールちゃうやないか!ペーパー試験を批判して始まったっちゅうのに,ペーパー試験を導入するわけないやないか。
   もうちょっとなんか言ってなかったか?

駒場:弁護士になる本道っていうてた。

内海:ロースクールや。司法制度改革の本道や。ロースクールや絶対。

駒場:司法試験合格率では,毎回トップを他の制度に奪われてるんや。

内海:ほなロースクールちゃうな。改革の本道が,そんな体たらくなはずがないやないか。 本道はその「他の制度」やないか。
   もうちょっとなんか言ってなかったか?

駒場:未修者も社会人も,猫も杓子も弁護士になれるようにと設計されたんやって。

内海:ロースクールやないか。いろいろなバックグラウンドを持った人材が法曹になれるんや。

駒場:合格者の社会人割合は減るし,未修者合格率は低迷しとって,マス教育に戻すんやって。

内海:ほなロースクールちゃうな。ロースクールで人材の多様性が失われるわけないやないか。

駒場:これからの時代の高等教育制度の下で、経済的事情で、例えば大学あるいは大学院に進学できないという状況に追い込まれる人というのは、そんなにたくさんいるんだろうかと考えると、まず社会的な発展段階から考えてそんなにいるはずがない,っていうてた。

内海:ロースクールや!学生の経済状況に問題ないっちゅうて,自信満々に学部から独立させたんや。

駒場:法曹コースっちゅうて学部の助けを借りて,学生の経済的負担を少なくしようと汲々としているんや。

内海:ほな,ロースクールちゃうな。学生さんの経済的事情に問題ないからな

駒場:基準を満たせば,今まで司法試験合格者がいなかったような大学でも,設立を許可したんやって。

内海:ロースクールや。ロースクール間で切磋琢磨すれば,教育の質もアップするがな。

駒場:LL7いうて,下位や地方を切り捨てにかかってるんやって。

内海:ほな,ロースクールちゃうな。ロースクールがそんな無責任をするはずがないやろ

駒場:修習生の給費を切り詰めて予算を回しているらしい

内海:ロースクールや!
   貸与制なんて無給で1年も拘束して憲法違反スレスレやから!
   ロースクールやん絶対!

駒場:わからへん。

内海:わからんことない!おかんが好きな法曹養成制度はロースクール

駒場:おかんがいうにはロースクールではないっていうてた

内海:ほなロースクールちゃうやないか!

駒場:おとんがいうには,予備試験ちゃうかって

内海:いや,絶対ちゃうやろ!

グラフで見るロースクール

経済性


ロー入学からロー卒業まで

無収入に加えてローの学費の支出が必要です(-20)。

ロー卒業から合格まで

合格率が30%に上がっているとはいえ,浪人することも十分にあります(-10)。

合格(修習開始)から就職まで

修習期間です。
給付制とはいえ,支出の方が多いでしょう(-10)。

弁護士n年目以降

年収300万円でもよいとして,弁護士増員が続いています。
裁判件数は増えておらず,需要と供給の関係からすれば,単年度においても非法曹の収入を超える保証はありません。

総合評価

橙の線の延長線が,緑の線の延長線を上回ってさらに,就職までのマイナスを補填できない限り,一般的な就職と比べて弁護士になる経済的なメリットはありません。
もともと,医者や弁護士のような,なるまでに長期の準備期間が必要な職業は,生涯収入において,経済的に大きなハンディキャップを負っているのです。
それでも旧司法試験の時代は,こうしたハンディキャップを相殺してなおそれなりの収入が得られる見込みがあったので,弁護士は,最大5万人の司法試験受験者が殺到する超人気職業でした(ロースクールの学費負担もありませんでした)。
しかし,ロースクールの大増員政策によって,弁護士の経済的価値は大きく毀損されています。
現在は,将来において余程の高収入を得られる見込みでもなければ,経済的な観点からは,弁護士を目指すべきではないでしょう。

レーダーチャートによる分析

非法曹と弁護士(ロースクール

収入

弁護士のインフレによる経済的価値の下落を考慮して,非法曹を8,弁護士を7としました。

経済的コスト

コストが低いほど,数値が高くなるものとします。
非法曹は,特段のコストがないとして10,ローの学費,また無職期間の無収入を考慮して1としました。

なれる確率

昨今の合格率上昇を評価して,弁護士は5と評価しました。

可処分時間

あまり注目されることが少ないですが,弁護士になるには,司法試験の勉強に多くの時間が必要です。
1日10時間勉強する人も少なくないでしょう。
これを考慮して,弁護士は1としました。

社会的地位

一応の社会的評価を得ているので,弁護士は8としました。

総合評価

非法曹の緑のエリアが大きいことが一目瞭然です。

予備試験とロースクール

収入

四大事務所などの高額報酬の事務所が予備試験合格者を多く採用していることを評価して,予備試験を10としました。

経済的コスト

予備試験は,莫大なローの学費がかからないので5と評価しました。

なれる確率

不当に制限されている予備試験の合格率を考慮し,予備試験は1と評価しました。

可処分時間

予備試験合格者も,司法試験の勉強に多くの時間を費やします。
もっとも,ローへの通学時間や授業,予復習や課題 提出などにわずらわされず,司法試験の試験勉強に集中できることを評価し,予備試験を3としました。

社会的地位

四大事務所などに就職できる可能性が高いことを考慮し,予備試験を10としました。

総合評価

予備試験の緑のエリアが大きいことが一目瞭然です。

使用したJSライブラリ

www.chartjs.org